1989 Fiscal Year Annual Research Report
活性二塩化硫黄の化学的特性を活用する機能性複素環設計
Project/Area Number |
01648515
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大城 芳樹 大阪大学, 工学部, 教授 (70028984)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 満男 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029197)
|
Keywords | 二塩化硫黄 / 複素環合成 / 含硫複素環 / 活性付加体 / アセチレン / 活性メチレン化合物 |
Research Abstract |
二塩化硫黄の化学的特性を解明しながら、硫黄あるいは硫黄-ハロゲン結合のもつ特徴ある反応性を活用した多官能活性中間体の合成法を確立し、これを利用する複素環合成ル-トの開発を目的とした。本年度は不飽和基への付加や、活性水素化合物との縮合による複素環合成について研究を展開した。得られた成果を以下に要約する。 1.二塩化硫黄とアセチレン類との1:1付加中間体を捕促し、未解明であった反応機構を明らかにするとともに、複素環設計への活用を図った。即ち、低温では二官能性活性中間体であるα-クロロ-β-クロロスルフェニルオレフィンとして存在し、昇温によりさらに変換が起こる。 2.ジ-t-ブチルアセチレンの場合には中間体を昇温するとチイラン環が生成することを見出し、アセチレン類との反応では初めて複素三員環を単離することに成功するとともに、新反応様式を開拓した。 3.ジフェニルアセチレンの場合には三員環を経由することはなく、クロロスルフェニルオレフィンからベンゾチオフェン誘導体に直接閉環することを解明した。フェニルアセチレンについても新しい知見を得た。 4.低温で発生させた二官能性活性中間体とオレフィンとの反応で非対称型のβ,β^1-ジクロロスルフィドを合成し、これを出発物質とする含硫複素環合成を展開した。例えば、オキサチアン環などが容易に合成でき、複素環設計に有用な試剤となり得ることを明らかにした。さらに中、大員環化合物合成への応用を検討している。 5.マロン酸ジメチルなどの活性メチレン化合物との反応で、生理活性が注目されながら従来有効な合成法のなかった1,3-ジチエタンおよび1,2,4-トリチオラン環化合物を合成することに成功した。 6.オレフィンやアセチレンのニモル付加体の複素環合成への応用の可能性を明らかにした。複素環設計試薬としてさらに検討を続けている。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Y.Ohshiro et al.: "Novel Synthesis of Sulfur-Containing Bicyclic β-Lactams(Thiaisoalkanams)Using Sulfur dichloride as a Sulfur Transfer Reagent" Tetrahedron Lett.
-
[Publications] Y.Ohshiro et al.: "Novel Thiirane Forming Reaction of Sulfur Dichloride with An Acetylene" J.Chem.Soc.,Chem,Commun.