1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01649502
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
市原 耿民 北海道大学, 農学部, 教授 (20000820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 正敬 北海道大学, 農学部, 特別研究員 (60202339)
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Keywords | 植物毒素 / 生体機能物質 / 不斉合成 |
Research Abstract |
生物由来の生理活性物質は酵素をはじめとする多様な生体機能物質により、巧みに制御されて生産されてくる。即ちこれらの生産物は位置ならびに立体的に制御された構造を有しており、生体機能物質の働きは未知の研究対象である。しかし多岐にわたる天然物については生合成研究が行なわれているのみで、生体機能物質の反応制御における発現機構まで考察した研究はまだ緒についたばかりと云える。本研究はこの点に注目し、生体機能物質をモデルとした複合系を用い、基質の反応性、立体制御を検討し、天然物合成への適用をはかることを最終目標として研究を進めている、以上の観点から二つの植物毒素ベ-テノンBおよびアルタナル酸をとりあげ、以下の研究を行った。 1.プロベ-テノンIの合成:ベ-テノンBはテンサイ蛇眼病菌(Phoma betae)の生産する植物毒素で、この類緑体は強い蛋白合成阻害作用を有する。すでに生合成研究において、ベ-テノンBはポリケタイド経路で生合成することを確認している。さらに培地中に水酸化酵素阻害剤であるアンシミド-ルを添加することにより、仮想生合成中間体であるプロベ-テノンIを単離した。実際標識実験により、この中間体はベ-テノンBに変換されることを確かめている。プロベ-テノンIの構造の確定と生合成研究、さらには生体内複合系モデルの構築のため、生合成類似の経路でこのものを合成した。この際鍵段階となる分子内Diels-Alder反応は動力学的選択性よく環化生成物を与えた。同族体を含めた環化前駆体をいくつか合成し、生体内反応さらには複合系下での反応を検討する。 アルタナル酸の合成研究:アルタナル酸はバイレショ夏疫病菌の生産する植物毒素で、平面構造についてはすでに提出されている。立体構造確定のため、全合成を可斉な複合系下に合成する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 市原耿民: "Total Synthesis of (-)-Bctacnone C" Tetrahedron Lett. 30. 4551-4554 (1989)
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[Publications] 三木正敬: "Synthesis of (-)-Probetaenone I:Biosynthetic Precursor of Betaenone B" J.Chem.Soc.(1990)
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[Publications] 市原耿民: "Synthesis of Bioactive Natural Products through the Diels-Alder Reaction.Ed.Atta-ur-Rahman,Studies in Natural Products Chemistry,Vol.4." Elsevier, 46 (1989)