1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01649511
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒沢 英夫 大阪大学, 工学部, 助教授 (40029343)
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Keywords | π-アリル(オレフィン)錯体 / 立体保持反応 / X線構造解析 / 差NOE NMRスペクトル |
Research Abstract |
本研究の目的は、オレフィン配位子およびπ-アリル配位子と金属との相互作用の特性が、これら有機配位子の変換反応の選択性発現にどのように活用できるかを追求することである。本研究代表者は以前の研究で、上記二つの有機配位子が同時に単独の金属に配位する場合、これらが相互に影響しあって、いくつかの興味ある物性、反応性を示すことを見出してきた。本年度は、これらの知見を基礎として、以下の新しい事実を発見した。 1)π-アリル(オレフィン)パラジウム中間体を経由するアリルカップリング反応に、オレフィンとして無水マレイン酸を用いることにより、従来のホスフィンパラジウム触媒反応では不可能であった、立体保持で進行する炭素-塩素結合から炭素-炭素結合への変換が実現できる。ここで無水マレイン酸を用いない場合、反応ははるかにおそく、また立体化学も従来の反転で進行する。 2)上記触媒反応の鍵中間体は、高活性で取り扱いが困難であるため、より安定な白金錯体Pt(π-CH_2CMeCH_2)(Styrene)(C_6F_5)1をモデルとして単離した。1の固体状態での構造では、X線解析によりスチレンのC=C軸が配位平面内に位置する。これはオレフィン白金II価錯体ではきわめて珍らしい構造である。つぎに1のCDCl_3溶液の差NOE NMRスペクトルを精密に解析したところ、溶液中では、固体構造と同じ異性体以外に、このもののジアステレオ異性体が少量存在し、両者は互いに平衝にあることが判明した。さらに興味深いことに、これら異性体間の相互変換では、従来よく知られている金属-オレフィン結合の解裂を経由する機構でない全く別の新しい経路が存在することが分った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hideo Kurosawa Sensuke Ogoshi,Yoshikane Kawasaki Shinji Murai,Masaaki Miyoshi,Isao Ikeda: "Novel Dependency of Stereochemistry upon Metal,Ligand,and Solvent in Oxidative Addition of Allylic Chlonride to Pd(0)and Pt(0)Complexes" J.Am.Chem.Soc.(1990)
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[Publications] Hideo Kurosawa,Isao Ikeda,Kunio Miki,Nobutami Kasai: "Structure and Stability of η^3-methallyl(styrene)-pentafluorophenyl)platinum in the solid state and in solution" Organometallics.