1989 Fiscal Year Annual Research Report
トリソミ-16マウスを用いたアルツハイマ-病発症機序の解析
Project/Area Number |
01658518
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
田平 武 国立精神・神経センター, 神経研究所・6部, 部長 (80112332)
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Keywords | アルツハイマ-病 / ダウン症 / トリンミ-16 / アミロイド / 老人斑 / 神経成長因 |
Research Abstract |
西ドイツから導入した親マウスがマウス肝炎ウイルスに汚染されていたので、第1.第2世代を帝王切開し、SPF化した。この親マウスのF_1と正常のマウスを交配することにより約10%の頻度でトリソミ-16(Ts16)マウス胎児が得られた。 Ts16マウスは子宮内致死的である為、キメラの作製を試みた。その結果約150個の融合卵から20匹のマウスが出生し、染色体分析の結果1匹のみが目的とするキメラであった。このマウスは生後1年までの観察では行動面での明らかな異常を認めていない。今後病理学的検討を行う。 Ts16マウスは胎児永腫を呈するので見分けることができる。そこで、胎生15日目の前脳より神経細胞の分離培養を行ない、神経成長因子(NGF)に対するコリン作動性ニュ-ロンの応答をコリンアセチルトランスファラ-ゼ(chAT)活性でみた。その結果、正常同胞マウスではNGFに反応してchAT活性上昇が見られたが、Ts16マウスは全く反応しなかった。これは前脳基底部、中隔野のニュ-ロンでも確認された。そこで、胎生15日目の前脳のNGF量を測定した所、総量ではTs16の方が脳重量が低いことを反映して低い値を示したが、単位脳重量あたりのNGF量はTs16脳の方が有意に高い値を示した。従って今後Ts16マウスコリン作動性ニュ-ロンのNGF受容体およびそれ以降のシグナル伝達系に異常がないかについて検討する必要がある。 次にTs16マウス脳のアミロイド前駆体蛋白遺伝子mRNA発現について検討した所、同日齢の同胞に比し1.5〜2倍の発現増加が見られるが、695,751,770の発現パタ-ンに差がないことが分った。 現在、Ts16マウス脳を移植する方法、神経細胞を不死化する方法を行っているが、まだ結果は得られていない。
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Research Products
(2 results)