1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01659001
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
田代 朋子 群馬大学, 医学部, 助教授 (50114541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚越 幹郎 理化学研究所, マイクロ波物理, 副主任研究員 (50087441)
粕谷 敬宏 理化学研究所, マイクロ波物理, 主任研究員 (00087438)
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Keywords | 細胞骨格 / アクチン / アクチン結合蛋白質 / 熱ショック蛋白 / リポコルチン / 神経終末部 |
Research Abstract |
形質膜直下には、アクチン繊維やスペクトリンを主体とする裏打ち構造である膜骨格が発達しており、膜の流動性、膜蛋白の局在などを調節すると考えられている。神経負末部では更に、シナプス小胞とシナプス形質膜との融合過程に重要な役割を演ずることが予想される。本研究では、神経伝達およびその制御機構における膜骨格の役割を明らかにする目的で、今年度はまづ、軸索内輸送系を利用して神経軸索および終末部で機能するアクチン調節蛋白の検索を行なった。実験系としてラット坐骨神経運動繊維を用い、細胞体の存在する脊髄前角部にLー[^<35>S]メチオニンを注入した後、遅い軸索内輸送で運ばれる標識細胞骨格蛋白を分析した結果、以下の各点が明らかになった。 1.輸送される細胞骨格蛋白の速度および溶解性の分析から、軸索細胞骨格には講造維持に重要な安定重合型と重合ー脱重合平衝にあるダイナミック型という二種の重合状態が存在することが示された。遅い軸索内輸送は、安定重合型の大部分を含む成合I(1.5mm/日)と、ダイナミック型を主体とする成分II(3mm/日)の二つの速度成分から成り、実際の輸送はダイナミック型を介して起こると考えられる。アクチンは両成分にほぼ1:1の割合で分布する。 2.成分IIは、アクチン、チューブリンの他に分子量68k、等電点6.0の主要構成分を含むが、これはCa^2存在下の溶解性による二種の蛋白に分離される。ペプチドマップ、抗体反応性などから、一方は、70kheat shock関連蛋白、もう一方はリポコルチン様蛋白と同定された。 3.DNase I アフィニティ・クロマトにより、45k、80k、100kのGーアクチン結合蛋白が検出されたが、いづれも成分IIに局在していた。 4.現在、これらアクチン調節蛋白とみられる蛋白を精製し、in vitroアクチン重合に対する作用を検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 田代朋子: "Stable and dynamic froms of cytoskeletal proteins in slow axonal transport" Journal of Neuroscience. 9. 760-768 (1989)
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[Publications] 田代朋子: "神経損傷後の軸索内輸送変化と細胞骨格の変化" 神経化学. 28. 296-297 (1989)
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[Publications] 関本澄人: "細胞骨格タンパクとともに輸送される68k軸索内タンパク" 生化学. 61. 903 (1989)