1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01840008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥田 雄一 東京工業大学, 理学部応用物理学科, 助教授 (50135670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐木 幸一 オリンパス光学工業(株)研究部, 研究員
鈴木 勝 電気通信大学, 物理, 講師 (20196869)
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Keywords | 超音波顕微鏡 / 超流動^4He / 超音波減衰 / フォノン / 非線型波動 |
Research Abstract |
交付申請書には本年度において1GHzのヘリウム用レンズを製作して、超流動へリウム超音波顕微鏡を作製する旨を唱ったが、1GHzのレンズの反射防止膜がうまく出来ず、まだ実験できない状態である。本年度において得られた成果は、製作の技術をマスタ-した400MHzでの実験が中心となった。400MHzのレンズ、反射防止膜、超音波計測のシステムが出来上り、極低温で、しかも25気圧の加圧下でも満足のいく動作をするスキャナ-も完成した。システム全体は25気圧の超流動ヘリウム(約300cc)で満たされた状態でも希釈冷凍機によって約300mkまで冷却でき、この温度で超音波顕微鏡として満足の行く動作が確認され、空間分解能約0.4μmが得られた。そして、極低温に於てヘリウム超音波顕微鏡の諸動作が検討された。とりわけ、20気圧以上に加圧された超流動ヘリウムが超音波顕微鏡の音響カップラ-として大変優れていることが新たに見い出され、今後、更に周波数を上げて高い分解能をねらう上で有望な液体であることが判明した。また、フォ-カス点近傍では、音波のエネルギ-密度が大変高くなり、音波の伝播の非線型効果が出易い状況になっている。液体ヘリウムは密度が小さく音速も遅い。そのため、フォ-カス点では通常の媒体(音波だけでなく、あらゆる波動について)では実現できない極度の非線型が起こっている可能性がある。このことを超音波顕微鏡のシステムを使って調べたところ、全く新しい非線型現象を発見した。これは、超音波を越えた一般的な非線型波動の新現象であり、波動物理に新しい問題を投げかけるものと思われる。また、この非線型効果が超音波顕微鏡の分解能を更に上げる可能性について理論的考察を行っている。
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[Publications] K.Karaki: "Pressurized Superfluid ^4He Acoustic Microscopy" Jpn.J.Appl.Phys.1990.
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[Publications] K.Karaki: "Obsevation of New Nonlinear Phenomena in Focused Acoustic Beam in Pressurized Superfluid Helium-4" Physica B+C 1990 to be published.
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[Publications] K.Karaki: "Acoustic microscope using pressurized superfluid ^4He" J.Appl.Phys.1990.