1989 Fiscal Year Annual Research Report
アルファ壊変生成原子用荷電スペクトロメ-タ-の試作研究
Project/Area Number |
01840026
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
八木 益男 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (10004269)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩川 佳伸 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50111307)
原 光雄 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90005918)
|
Keywords | アクチノイド元素 / アルファ放射体 / 壊変生成原子 / 荷電スペクトロメ-タ- / 荷電スペクトル / 四重極質量分析計 |
Research Abstract |
近時、アクチノイド元素およびそれら化合物の物性に関する研究、あるいは利用に関する研究が活発に行われるようになってきた。しかし、これら元素の大部分はアルファ放射体で構成されているため、各研究分野で観測された諸現象、諸物性の解明においては、その壊変にともなう物理的化学的効果にまだ不明な点が多いため大きな混乱をまねく原因となっている。これはアルファ壊変生成原子の初期生成状態と、それによる事後効果に関する知識が全く欠けていることに原因している。本研究においては、上記アルファ壊変生成原子の初期生成状態、すなわち、その生成荷電を観測する荷電スペクトロメ-タ-を試作し、各研究分野で観測されている不明の諸現象、諸物性を解明する手掛りを得ることを最終研究目的としている。本来アルファ壊変においては、原子核の陽電荷は-2となり生成原子の電子数は2ケ余分となる。一方、この原子核の陽電荷の突然の変化による核外電子の再配列は、電子軌道膨張による劇的な揺さぶり効果を引き起こし、外殻電子の高効率イオン化を導く。そしてこれは先の電子2ケを余分に持つという電子親和性との競合を起こし、アルファ壊変生成原子の初期荷電状態は複雑な様相を呈する。 これら生成原子の初期荷電は、四重極質量分析計を基本とした荷電スペクトロメ-タ-の開発試作によって始めて可能になる。そこで性能的に優れ生成イオンの導入部の変更が容易な四重極質量分析計の機種選定をおこない、ソ-スボリウム(イオン導入部)とその電源、同上への放射性ガス導入部、四重極質量分析計との接続、イオン検出器とその検出回路等細部にわたる装置の基本設計をおこない、その製作組立を実施した。結果として、まだ手動によるデ-タ処理しかできない段階であるが、四重極質量分析計、イオン検出系は目標性能を満足することが確かめられ、ソ-スボリウムの正の電場勾配のかけ方が引き続き検討されている。
|