1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01840027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
村田 紀夫 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (90011569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田坂 恭嗣 環境緑化資源開発センター, 研究部, 研究員
山谷 純 キリンビール株式会社, 基盤研究所, 研究員
西田 生郎 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (40189288)
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Keywords | グリセロ-ルー3ーリン酸アシルトランスフェラ-ゼ / 形質転換植物 / 生体膜 / 低温感受性植物 / 低温耐性植物 / ホスファチジルグリセロ-ル / 膜脂質 |
Research Abstract |
1.研究目的ー低温は穀類や果樹の生産性を制限する環境要因の一つである。熱帯起源の穀類や果樹は特に低温感受性であるがこれらに遺伝子操作により耐冷性を付与できれば、食糧の生産性の向上が期待される。生体膜脂質の一種ホスファジルグリセロ-ル(PG)の飽和分子種が植物の低温感受性と高い相関を示すことが既に明らかにされている。本研究では、この飽和分子種の生合成を支配する酵素acylー(acylーcarrierーprotein):glycerolー3ーphosphate acyltransferase(以下ATaseと略)を低温耐性の植物から単離し、これを低温感受性植物に導入して、低温耐性に関する形質転換植物を作製する方法を開発することを目的としている。 2.研究成果ー(1)低温耐性植物のシロイヌナズナよりATaseのcDNAおよびゲノムDNAを単離し、その性格を調べた。その結果、ゲノムDNAにはシロイヌナズナの遺伝子としては例外的に多数(12個)のイントロンが存在することがわかった。またcDNAのヌクレオチド配列から推定されるアミノ酸配列から、この酵素の前駆体は90個のアミノ酸残基からなるトランジットペプチドを持つことが推定された。(2)シロイヌナズナのATaseのcDNAをプラスミドpBI121に挿入し、バイナリ-ベクタ-法により、タバコに導入した。この形質転換タバコのPGの脂肪酸組成は、野生型のタバコとシロイヌナズナの中間的な性質を示した。この結果は、ATaseに関する遺伝子操作により、植物のPGの飽和分子種組成を変換できることを示している。(3)同様の遺伝子操作により、パパイヤとミカンの形質転換操作体を作製した。現在、PGの脂肪酸に関する分析を行っている。(4)今後は、これらの形質転換植物の低温耐性能の評価をおこなう。
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