1989 Fiscal Year Annual Research Report
acカロリメトリによる極微量物質の熱物性値測定装置の開発
Project/Area Number |
01850007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
八田 一郎 名古屋大学, 工学部, 教授 (70016070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 良三 真空理工株式会社, 開発本部, 室長
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Keywords | acカロリメトリ / 極微量物質 / 熱物性 / 比熱 / 熱容量 / 測定法 |
Research Abstract |
本研究は光加熱方式acカロリメトリを用いて極微量物質の熱物性値測定装置の開発を目的としている。その一つとして極微少量液体の比熱測定法の確立がある。約1μlの液体をステンレス鋼製チュ-ブ(内径約130μm、外径約170μm、長さ3cm)に詰め、外からチョップした光を照射して、比熱測定を行った。蒸留水を標準試料として光によって加えられた熱エネルギ-の大きさを決めた。その下にエチルアルコ-ル(精密分析用、純度99.5%以上)およびn-ヘプタン(吸光分析用)の熱容量測定を30℃で行った。エチルアルコ-ルの比熱の測定結果は2.501±0.011J/g・Kであり、報告されている文献値は2.479±0.007J/g・Kであって、1%以内の不精確度で一致している。また、n-ヘプタンの比熱の測定結果は2.273±0.009J/g・Kであり、報告されている文献値は2.263±0.002J/g・Kであって、これも1%以内の不精確度で一致している。微少量液体においてこの精度で比熱の絶対値が決められることが明らかにされた。さらに詳しくこれら結果をみるとここで求められた値はいずれの場合も文献値より0.4〜0.9%大きく、これが偶然的なものによるのか系統的なものによるのかについては今後検討されなければならない課題である。この問題を解決すれば、この方法でさらに高精度で比熱測定を行える可能性がでてくる。微少液体中に分散した物質の比熱測定では、比熱がその物質の状態によることがあるのでまずその物質の大きさ形状などを評価しておくことが必要であることがわかった。光加熱方式acカロリメトリは薄膜材料の熱拡散率測定へも応用できるが、この応用範囲が益々広げられ、この方法は薄膜材料の熱物性評価法として一般性のある有用な方法であることがわかってきた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] I.Hatta,R.Kato and A.Maesono: "Effect of inhomogeneaous heat irradiation in ac calori-metric thermal diffusivity measurement" Proceedings of the Second Asian Thermophysical Properties Conference. 133-135 (1989)
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[Publications] I.Hatta,S.Hiraiwa and H.Tao: "An ac calorimetric thermal diffusivity measuring method for transparent materials" Proceedings of the Second Asian Thermophysical Properties Conference. 543-546 (1989)
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[Publications] I.Hatta: "Thermal diffusivity measurements of thin films and multilayered composites" International Journal of Thermophysics. 11. 293-303 (1990)