acカロリメトリによる極微量物質の熱物性値測定装置の開発

1991 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 01850007
• Research Institution: Nagoya University, School of Engineering Grant-in-Aid for Developmetal Scientific Research (B) (2)
• Principal Investigator: 八田 一郎 名古屋大学, 工学部, 教授 (70016070)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 加藤 良三 真空理工株式会社, 開発本部, 開発室長
• Keywords: acカロリメトリ / 極微量物質 / 熱物性 / 比熱 / 熱容量 / 熱伝導率 / 熱拡散率 / 熱測定

Research Abstract

光加熱方式acカロリメトリを用いた極微量物質の熱物性値測定装置の開発を行った。その一つは極微少量液体の比熱測定法の確立である。約1μlの液体試料をステンレス鋼製チュ-ブ(内径約130μm、長さ3cm)に詰め、外からチョップした光を照射して、比熱測定を行う方式である。微少量の液体試料での測定が期待されている。ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)・コレステロ-ル系において全濃度領域において、この系の主転移温度近傍における比熱の測定を行った。純粋なDPPCで現れる主転移での比熱異常はコレステロ-ル濃度を上げたとき、示差走査熱量計とは異なり、微妙な変化をとらえることができるとわかった。また、DPPC・ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)二成分系で比熱の温度履歴の精密測定を行った。一方、光加熱方式acカロリメトリは薄膜材料の熱拡散率測定へも応用できるが、この応用範囲が益々広げられ、この方法は薄膜材料の熱物性評価法としてどのような薄膜にも適用でき精度も高い方法であることがわかった。とくに熱拡散率の小さいポリマ-のような物質がそれとは反対に大きい銅のような物質における測定での問題点を検討し、それらに対して、どのように対処すればよいかその方法を明らかにした。通常acカロリメトリ-は気体雰囲気下で行われるが、熱拡散率の小さな薄膜の場合、薄膜面に沿って存在する気体を介しての熱の伝播が問題となり、最早気体雰囲気下で測定することはできなくなることがわかった。一方、熱拡散率が大きい薄膜の場合、短冊状試料の端における交流温度波の反射が問題となる。このような試料の測定において試料の長さに関する条件を明確に示した。

Research Products

• [Publications] Yuqin Gu: "Effect of sample edge in ac calorimetric method for measuring thermal diffusivity of thin films with high thermal diffusivity" Jpn.J.Appl.Phys.30. 1137-1138 (1991)
• [Publications] Yuqin Gu: "Development of ac calorimetric method for thermal diffusivity measurement IV:Films with low thermal diffusivity and very thin films" Jpn.J.Appl.Phys.30. 1295-1298 (1991)
• [Publications] 八田 一郎: "薄膜材料の熱物性" 伝熱研究. 30. 20-29 (1991)
• [Publications] I.Hatta: "Heat capacity measurements with a.c.microcalorimetry" Pure and Applied Chemistry. 64. 79-86 (1992)
• [Publications] I.Hatta: "ac calorimetric study of phase transitions in phophatidylcholine-cholesterol systems" J.Thermal Analysis.
• [Publications] 八田 一郎(分担執筆): "「第4版実験化学講座第4巻熱・圧力」第4章非反応系・カロリメトリ-4・2・2交流法" 丸善株式会社, (1992)