1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01850047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土方 邦夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (60016582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長崎 孝夫 東京工業大学, 工学部, 助手 (30155923)
中山 恒 東京工業大学, 工学部, 教授
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Keywords | 電子機器冷却 / 集積回路素子 / 強制対流伝熱 / 複合伝熱 |
Research Abstract |
集積回路素子の高性能冷却を図るため、集積回路チップ表面を気体の強制対流場に置き、チップ内の集積回路(IC)ジャンクションを直接冷却する方法につき研究を行ない以下の成果を得た。まず実際のICを用い、チップ内のダイオ-ド素子を発熱させ空気の衝突噴流により冷却する実験を行なった。ここでダイオ-ド素子の順方向電圧の温度依存性を用いて素子温度を測定した。さらに顕微鏡型赤外線放射温度計を用い、チップ表面温度分布も測定した。その結果、チップ内の微小素子の発熱により素子近傍に局所的な温度上昇が生じるとともにチップの全体的な温度が上昇することが分かった。さらに複数の素子を発熱させた場合、各素子近傍の局所的な温度上昇は各素子の発熱量に比例し、チップの全体的な温度上昇はチップ内での総発熱量に比例する。これらの結果からチップ内の微小発熱素子からの伝熱は、素子近傍の微視的スケ-ルで生じるチップ内熱伝導と、より大きなスケ-ルで生じるチップから強制対流場への伝熱の複合問題であることが分かった。この複合伝熱過程を定量的に把握するため、ガラス基板状に形成した薄膜微小発熱体を空気の強制対流により冷却する実験を行ない、素子1個および複数の素子が種々の間隔で発熱する場合の表面温度分布を調べた。その結果、発熱素子近傍に有限の大きさの高温領域が生じ、その大きさが空気流速の増加とともに減少すること、また複数の素子がこの高温領域の大きさ以下に接近すると素子間の相互干渉が生じ素子温度が上昇することが分かった。さらに3次元複合伝熱場の数値計算を行ない、実験結果を理論的に説明することができた。以上の結果から、強制対流による基板表面の直接冷却効果は基板熱伝導率と対流熱伝達率の比で定まるある大きさ以上の規模で有効となることが分かった。
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