1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01850150
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山口 昭雄 近畿大学, 理工学部, 教授 (00088345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 純司 近畿大学, 理工学部, 講師 (30088471)
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Keywords | 溶射 / 酸素センサ- / ジルコニア / 参照極 / 起電力 / 固体電解質 / 気孔 |
Research Abstract |
本年度は,溶射法により酸素センサ-の固体電解質部並びに参照極部を作製して,主として,大気雰囲気(0.21atm)において試作したセンサ-の性能実験を行った。研究の概要は下記のとおりである。 フレ-ムジェット溶射法およびプラズマ溶射法による酸素センサ-の作製実験 上記の両溶射方式によりジルコニア溶射皮膜が固体電解質となる酸素センサ-の作製を行うと共に、参照極部に対してもフレ-ムジェット溶射法を適用して、FeーFeO系皮膜を作製した。固体電解質をジルコニア溶射皮膜とするセンサ-では参照部材としては炭素鋼棒(SS41)、モリブデン棒を用いた。その結果、ジルコニア溶射皮膜と母材の密着性も良好であり、耐熱衝撃性に優れているセンサ-を作製するための溶射条件を確立できた。FeーFeO参照極部の作製に関しては、焼結体のジルコニア板に対してFe粉末を溶射することにより行った。この場合、厚膜の溶射皮膜の作ることが、センサ-の耐久性を向上するために重要であり、剥離などを発生しない、適正な積層条件を得るため、溶射温度,溶射距離などの諸条件について実験を行い、600μm皮膜厚さまで作製することを可能とした。 溶射法により作製した酸素センサ-の性能実験 作製した酸素センサ-について800〜1000℃温度の大気雰囲気中(0.21atm)での酸素濃度測定を行った。この場合、酸素濃度の測定は起電力の経時変化から求めた。 参照極部材をモリブデン棒、炭素鋼棒としたジルコニア溶射皮膜の固体電解質酸素センサ-では800〜900℃の温度において数10mVの起電力の発生が認められた。しかし、この数値は大気中の酸素分圧に対応しておらず、本方式による酸素センサ-からは酸素濃度に対応した有用な結果を求めることはできなかった。Fe溶射皮膜により、参照極部を作製した酸素センサ-では、前者のセンサ-に比較して大きな起電力値が得られており、1000℃の温度では平均780mVを示した。この値は、参照極皮膜部がFe,Fe_3O_4により構成されていると想定すると、大気中の酸素分圧(0.21atm)に対応した数値を示していると言える。なお、参照極部のFe溶射皮膜厚さを増すと共に測定時間が増加する傾向となり、400μmの皮膜厚さで、約3hrの測定が可能となった。
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