1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01850174
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
宇田川 康夫 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (00004458)
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Keywords | EXAFS / X線吸収 / 蛍光X線 |
Research Abstract |
蛍光検出法開発のために本科学研究費補助金により購入した主なものはシンチレーションカウンター(SC)2本と4連シングルチャンネルアナライザ(SCA)であり、それらを利用して次の蛍光検出のための準備を行なった。 1.蛍光検出効率を極大にするための試料台および検出器のハウジングの検討と製作。2本のSC(口径2インチ)を試料から50mmまで近ずけることにより、全立体角の1/8をカバーすることができた。 2.2連の検出系に対応する増幅器、SCAその他のエレクトロニクスを整備し、それに対応するコンピュターのソフトウェアを製作した。 3.半導体検出器(SSD)によるエネルギー分析により蛍光と散乱光の強度比を見られるようにした。 既存のEXAFS測定装置(吸収用)に以上の蛍光測定用付属装置を取り付け、以下のように蛍光検出法と直接吸収法の比較実験を行なった。 1.鉄箔(厚さ10ミクロン)のEXAFS測定。 蛍光検出法により8万cpsの信号強度が得られ、直接吸収法と同程度の質のスペクトルが測定できた。この場合には散乱光は相対的に弱く、殆ど問題にならなかった。 2.種々の濃度の硝酸第二鉄水溶液について測定を行なった。50mM程度では散乱と蛍光の比は5:1で、Mnフィルターにより1.3:1に落ち、その時の蛍光光子数は1500cpsであった。5mMではその数字がそれぞれれ4:1、1.2:1、600cpsになった。そして50mM以下の濃度では直接吸収法より蛍光法での方がはるかに良質のスペクトルが得られることが判明した。 以上の結果により、蛍光検出法により10mM程度あるいはそれ以下の濃度の溶液のEXAFSによる研究が可能と判断される。来年度はこれを利用して鉄ポルフィリン類のEXAFS測定を行なう予定である。
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