1991 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯生物資源であるハリナシバチの実用化、特にハウス作物のポリネ-タ-としての利用に関する研究
Project/Area Number |
01860006
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Research Institution | Faculty of Agriculture, Shimane University |
Principal Investigator |
前田 泰生 島根大学, 農学部, 教授 (20144694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 民二 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (90109041)
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Keywords | カベハリナシバチ / コロニ-の分割 / 交尾 / 人工給餌 / 人工餌 / 女王の産卵数 |
Research Abstract |
カベハリナシバチNannotrigona testaceicornisのコロニ-の人為分割に当り,不可欠な自然交尾法の開発を試みた.ハリナシバチ類の交尾タイプとして,1)きわめて狭い閉鎖環境でも交尾する.2)新女王の存在するコロニ-に由来する複数群のオスの溜り場ができ,新女王の出巣に伴い,これらのオスが追いかけて交尾する.3)新女王の存在するコロニ-の前で,オスが群飛し,そこに新女王が飛び込んで交尾するの3つに大別できる.本種の交尾タイプは,上記の1)であると推定し,小型の交尾用容器(プラスチック製,13.0(1)×21.0(w)×12.5cm(h))に複数群に由来するオス群(日齢不定,1〜40匹)を放飼し,ここに2〜69日齢の新女王を挿入し,交尾状態を観察した.オスのマウント行動は,新女王の2日齢から50日齢まで認められた.しかし,新女王の腹部を上方にねじる受け入れ行動は,女王の日齢に関係なく認められなかった.本種では,上記の2)または3)の交尾タイプと推定された. カベハリナシバチは,熱・亜熱帯圏に分布し休眠性をもたない.周年管理に当たっては,花粉・花蜜源植物の不存の冬期間は巣箱内への直接給餌が必要となる.人工給餌は蜜と花粉に分け,それぞれ人工ヤニつぼ(2ml)に入れて巣箱の貯食つぼ域に配置した.蜜はハチ蜜を水で希釈してたもの(糖度約40%)を用いた.花粉は,(1)カベハリナシバチの貯蔵花粉,(2)ミツバチの貯蔵花粉,(3)大豆粉,(4)加工大豆粉(大豆粉とショ糖液を配合し,ビ-ル酵母で発酵させたもの)を用いた.ハチ蜜は容易に受け入れられ特別に問題はなかった.花粉は(1)>(2)>(4)>(3)の順で受け入れられた.(4)かなり有効であることが判明した.また,(2)を用いたコロニ-では冬期間中,女王の産卵数は低下することなく,110個/日を維持できた.
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Research Products
(1 results)