1990 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ-トパイプ方式による生体内局所加温・冷却システムの試作
Project/Area Number |
01870009
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Research Institution | Osaka University Medical School |
Principal Investigator |
彼末 一之 大阪大学, 医学部, 助教授 (50127213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梁瀬 素子 大阪大学, 医学部, 助手 (30220198)
松村 潔 大阪大学, 医学部, 講師 (10157349)
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Keywords | ヒ-ト・パイプ / 生体 / 加温・冷却 / 熱極 |
Research Abstract |
生体局所の加温・冷却は温熱生理学において不可欠の研究手法である。特に、深部温度受容部位として重要な脳の温度刺激時の調節反応やニュ-ロン活動の解析から、体温調節系の中枢機構に関する多くの知見が得られてきた。現在脳温度刺激には温冷水還流による熱極thermodeが主に用いられている。ところがこの方法は常に外部より水を供給する必要があるため、動物の行動がどうしても制約される。また現在細い熱極でも直径が0_08mmあり、さらに熱極の先端が一番温度変化が大きいとはいえ、軸に沿った部分からの熱伝導は不可避であり、限局した微小部位の温度刺激は難しい。高周波あるいはレ-ザ-による刺激も行われているが、加温のみで冷却が出来ないのが問題である。本研究の目的は最近注目を集めているヒ-トパイプ方式を用いて生体微小局所(特に脳)の加温冷却システムを開発しその有用性を検討することである。昨年度は極細ヒ-トパイプの開発を行った。試作の結果得られたものは、長さ25mm、0。7mm角の正方形の断面を持つ銀製のもので、これは中性子写真によりヒ-トパイプとして機能していることを確認した。このヒ-トパイプの一端に5X5mmのペルチエ素子と冷却用フィンを一体化した加温・冷却器を装着した。この加温冷却用部分の大きさは7x7x5mm、全体の重量0.6gと当初の目的の小型・軽量のヒ-トパイプが完成できた。本年度はこのヒ-トパイプの性能試験を行った。21℃の大気中で0.6Aの通電によりペルチエ素子の温度が46℃になりその時ヒ-トパイプ先端は49.3℃となった。次にこのヒ-トパイプをラットの脳に埋め込んで試験したところ、脳温29℃の時に0.6Aの電流印加で1.5℃の脳温変化を与えることが出来た。
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Research Products
(1 results)