1989 Fiscal Year Annual Research Report
拍動流体外循環法を用いた新生児呼吸循環補助(ECMO)に関する検討
Project/Area Number |
01870055
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 正 大阪大学, 医学部, 教授 (40028569)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 雄一 大阪大学, 医学部, 助手 (30218896)
鎌田 振吉 大阪大学, 医学部, 助手 (40161202)
|
Keywords | 新生児 / ECMO(呼吸補助) / 拍動流体外循環法 |
Research Abstract |
新生児用心拍同期型拍動流ECMO装置を試作し、体重3-4Kgの仔犬を用いて有効性・安全性の検討を行なった。当初拍動装置として高頻度人工呼吸器の流用を考えていたが、駆出力が十分でなく有効な拍動が得られないため心電図トリガ-機構を内蔵する人工心臓用拍動装置に変更した。また拍動バル-ンについてもその装着部位、形状・材質等に検討を加え、体重約3kgの新生児拍動バル-ンとして容量6mlのバル-ンを試作した。以上の拍動流ECMO装置、拍動バル-ンを用いることにより人工肺により酸素化された血液を心電図に同期して患児の拡張期に大動脈へ送血することが可能となる。これにより従来の定常流ECMOでみられた左心室の負荷を軽減させるとともに、送血時の血圧の上昇により最高血圧及び脈圧の増加、ひいては全身の循環動態の改善が期待される。しかし新生児では成人に比し心拍数が多く、また200/minにも及び頻脈を呈することも稀ではない。そこで心電図トリガ-の方法につきコンピュ-タ-制御機構も含め検討を加えた。この結果心拍数130〜150/minまでは安全に1対1で拍動させ、それ以上の心拍数では2対1で拍動するよう制御可能となった。そこで上記体重の仔犬10頭を用いて6時間にわたり定常流ECMOと拍動流ECMOを交代させ、循環動態の比較を行なった。その結果拍動流ECMOでは最高血圧、脈圧とともにEVR(Endocardial Viability Ratio)や腎血流量においても有意に高値を示した。これにより拍動流ECMOは従来の定常流ECMOに比し優れた循環補助効果を有することが示唆されたが、今後循環不全時の拍動流ECMOの効果やその耐久性・安全性につき更に検討の必要がある。
|