1990 Fiscal Year Annual Research Report
成長できる人工血管の長期経過および安全性に関する基礎的研究
Project/Area Number |
01870060
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野一色 泰晴 岡山大学, 医学部, 助手 (60033263)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 昭二 東レ, 基礎研究所, 主任研究員
宮田 暉夫 高研, バイオサイエンス研究所, 所長
小柳 仁 東京女子医科大学, 教授 (90138884)
渡来 仁 岡山大学, 医学部, 助手 (50175139)
保田 立二 岡山大学, 医学部, 教授 (30092357)
|
Keywords | 人工血管 / 成長する人工血管 / 動脈瘤 / 親水性エポキシ化合物 / 抗血栓性 / コラ-ゲン / 超極細ポリエステル繊維 / 石灰化 |
Research Abstract |
乳幼児期に人工血管植え込みを伴った手術を受けると,その人工血管は患児の成長に合せて成長し,大人になった時にその成長も止まるという「成長できる人工血管」を作製し,その基礎実験から成長のメカニズムを理論的に解析した。次にその成果をもとに新しい型の「成長できる人工血管」を設計作成し,動物実験で設計通りの成長とその停止を確認した。そしてさらに,長期例における人工血管壁の変化と人工血管としての安全性の検討を行なった。人工血管としてはその素材にヒト大伏在静脈を用い,これを浸透圧および超音波にて内在する細胞を破壊したあと,親水性架橋剤によった固定処理した。この時の架橋率を変化させることによって人工血管の成長をコントロ-ルした。次に人工血管の成長停止の目的で外側に超極細ポリエステル繊維製メッシュ管を覆った。これは大〓在静脈より太いものであり,成長しきった時点での希望する内径をもつものである。このようにして植え込むと,大〓佐静脈部分が徐々に劣化して膨らみ成長する。そしてポリエステル管内側に達した成長加停止する。超極細ポリエステル繊磯は生体親和性に優れており,生体内で安定した血管壁の骨組みとして役立ち,劣化しないことから永久的に人工血管の太さを維持できる。これをメッシュ構造として用いたことは乳幼児期の患者に生じがちな石灰化を,メッシュ間隙を通る自家組織の代謝経路の確保に役立つことで予防したものである,今年度は長期例の動物実験の観察およびその形態学的解析に重点を置いた。その結果,4年間経済別で,植え込み時の内径4mmから1.2cmへと成長し,その後は成長しきった状態で内腔の径を維持していること,および590日経進例において,石灰化などの変性は全く生じていないこと等の予期した成果が得られており,これから,長期間植え込み時における「成長できる人工血管」の安全性の確認ができた。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Y.Noishiki,Y.Yamane,T.Miyata,T.Okoshi,Y.Tomizawa: "Development of a soft,pliable,slow heparin release venous graft" Transactions American Society for Artificial Internal Organs. 36. 343-346 (1990)
-
[Publications] Y.Noishiki,Y.Yamase,Y.omizawa,T.Okoshi,S.Satoh,C.H.R.Wldevuur: "Endothelialization of vascular prostheses by transplantation of venous tissue fragments" Transactions American Society for Artificial Internal Organs. 36. 346-348 (1990)
-
[Publications] H.Sato,J.Kojima,A.Nakajima,T.Moriya,Y.Noishiki,Z.W.Gu,F.M.Li,X.D.Feng: "Study on antithrombogenicity of poly[Bー(acetylsalicyloxy)ethyl methacrylate] related to poly(hydroxyethyl methacrylate)" J.Biomaterials Science Polymer. 2. 1-13 (1991)
-
[Publications] H.Sakabe,H.Ito,T.Miyamoto,Y.Noishiki,W.S.Hata: "In vivo blood compatibility of regenerated silk fibroin" SeniーGakkaishi. 45. 487-490 (1989)
-
[Publications] 野一色 泰晴,山根 義久,佐藤 伸一,丹生 智史,村山 祐一郎,冨澤 康子,大越 隆文,小柳 仁: "成長できる人工血管の長期例の解析" 人工臓器. 19. 1292-1296 (1990)
-
[Publications] 野一色 泰晴: "成長できる人工血管" 医学のあゆみ. 153. 183-183 (1990)
-
[Publications] 野一色 泰晴: "人工臓器,医用材料「医療福祉保険の総合年鑑WIBA'90」" 日本医療企画,総監修(阿部 正和,幸田 正孝,羽田 春免,三浦 文夫), 5 (1990)
-
[Publications] 野一色 泰晴: "抗血検性人工血管「Annuel Review循環器1989" 中外医学社,編集(杉本 恒明,大島 正浩,松本 昭彦,杉下 靖郎), 8 (1989)