1990 Fiscal Year Annual Research Report
アルゴンレ-ザ-を用いた悪性脳腫瘍に対する光化学療法の研究
Project/Area Number |
01870062
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平川 公義 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00010166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 傑 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (40134704)
大野 喜久郎 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (50014238)
加藤 大典 電子技術総合研究所, 光技術部, 主任研究官
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Keywords | Photoradiation / Brain tumor / Argon laser / In vitro study / Rat C_6 glioma model |
Research Abstract |
今年度は本科学研究費により新しく入った水冷式Lexell社製モデル150アルゴンレ-ザ-を用いてin vitroおよびC_6 gliomaラット移植腫瘍モデルで実験を行なうと共に臨床適用症例を追加した.まず,種々の培養細胞にアルゴンレ-ザ-照射を行ない,殺細胞効果がcell type specificか,またcell growth cycle specificかなどにつき定量的に検討した.Cell lineは,T98G(human glioblastoma),human smooth muscle cell(HSMC),C_6 rat glioma,rat fibroblast(rFb)を用いた.T98GではHpD 10ug/ml投与下で非投与のものに比し出力依存性に著明な効果を認め,波長488nm(青色光)よりも514.5nmで,またより低血清の培養下で著明であり,growth cycleではlog phaseのcellに対しても最も有効であった.Cell sizeはlog phaseで最も大で,mediumのpHに変化は見られなかった.HSMC,rFBでは,T98G,C_6に比し光照射の効果は低下していたが,HpD非投与のcellと比較すると明らかな殺細胞効果が見られた.ラット移植腫瘍モデルでは,波長514.5nm光照射(287joules/cm^2)により,脳および皮下腫瘍共照射部位に一致して腫瘍血管の血流障害を認め,また殺腫瘍細胞効果が見られた.HpD非投与群ではこれらの効果はないかあってもごく表層にどどまった.臨床症例は昨年度の報告以後2例の追加を見たが,治療結果に大きな差異は見られなかった.全6例の光化学療法による治療成績は,初発例での再発徴候の出現までの期間が4および7か月で,再発例のそれは3,3,6,8か月であり6例中4例は光化学療法後11,13,15,19か月で死亡した. 今年度の研究により,in vitroおよび実験動物モデルにおいて波長514.5nmアルゴンレ-ザ-光化学療法の有効性が明らかにされたが,臨床例における治療成績にそれが反映しているとは必ずしもいえなかった.
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