1989 Fiscal Year Annual Research Report
光励起半導体を用いる膀胱癌の新しい光化学療法の開発
Project/Area Number |
01870069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
窪田 吉信 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (10106312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 隆史 東京大学, 工学部, 助手 (70214377)
藤嶋 昭 東京大学, 工学部, 教授 (30078307)
穂坂 正彦 横浜市立大学, 医学部, 教授 (30106330)
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Keywords | 光励起半導体 / TiO_2 / ヒト膀胱癌 / 光化学療法 / 細胞膜 |
Research Abstract |
光励起半導体の1つとしてTiO_2(酸化チタン)を選び、ヒト膀胱癌細胞等を用いてin vitroでの様々な検討を行い次の結果を得た。 1.TiO_2薄膜を作製しその上で膀胱癌細胞を培養し、光照射時の光電流の流れと殺細胞効果との関係を検討したところ、アノ-ド分極下での光照射時に光電流が観察され、その状況下でのみの明確な殺細胞効果が明らかになった。 2.TiO_2半導体の微粒子化を試み、100〜50A^0の微粒子化に成巧し、コロイド状にして培養波中に分散させることができた。 これを癌細胞に投与し、24時間接触させ、光照射を行った所TiO_2粒子に、光照射光が加わった時にのみ、明らかな殺細胞効果が認められた。この効果はTiO_2濃度と光照射時間に依存した。またこの組み合わせで最大の効果が得られる光の波長はTiO_2の励起スペクトラムに一致した。 3.上記のTiO_2の光照射時の殺細胞効果の作用機序として、人工膜やラジカル消去剤投与の実験等の結果、光照射により、TiO_2表面に起こる化学反応で生成されるOH^-、ラジカル等による細胞膜(特に膜リン脂質の不飽和脂肪酸の酸化)の障害が考えられた。 これらはまったく新しい作用機序と考えによる光化学治療の開発の可能性を示唆するものであり、平成元年度の計画はほぼ目標通り達成できた。これらの結果は、第IV回癌の局所療法の進歩についての国際会議等で発表した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Cai,R.,Ieoh,K.,Fujishima,A.and Kubota,Y.: "Photocatalytic effect on tumo cells" Photomedicine and photobiology. 10. 253-255 (1988)
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[Publications] 窪田吉信,藤嶋昭: "化学でがんを退治する(2)明日の癌治療を目ざして" 化学. 43. 592-597 (1988)
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[Publications] Sakamaki,K.and Fujishima,A.: "The surface densiy of states of the reduced TiO_2 single crystal by using scanning tunneling microscope technique" J.Vac.Sci.Tech.(1989)
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[Publications] 森山正敏,窪田吉信: "腫瘍細胞の培養と染色体分析ー膀胱癌ー" 臨床病理. 80. 252-257 (1989)
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[Publications] 窪田吉信: "制癌剤に起因する続発性膀胱癌" 医学のあゆみ. 151. 151 (1989)
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[Publications] 長本帝裕,窪田吉信他: "膀胱癌に対するSーFU錠のphase II study" 癌と化学療法. 16. 845-850 (1989)