1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01870114
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 國寛 京都大学, 医学部, 助教授 (00027070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 学 京都府立医科大学, 教授 (40094453)
遠藤 治郎 島根医科大学, 教授 (20026892)
戸谷 誠之 国立健康, 栄養研究所, 部長 (70163988)
田畑 勝好 京都大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (70115880)
神奈木 玲児 愛知がんセンター研究所, 部長 (80161389)
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Keywords | カルパイン / プロテア-ゼインヒビタ- / カルパスタチン / 酵素免疫測定法 / モノクロ-ナル抗体 / βサラセミア / 高血圧症 / アルツハイマ-病 |
Research Abstract |
本研究の目的は、Ca^<2+>依存性システインプロテア-ゼ(カルパイン)の内在性特異的インヒビタ-であるカルパスタチンの酵素免疫測定法(ELISA)を確立し、これを実際の患者試料に適用して臨床的に評価することである。既に前年度までの研究により、カルパスタチンに対する抗体(ポリクロ-ナルおよびモノクロ-ナル)の作成とサンドイッチ型ELISA系の開発を終えているので、今年度は臨床評価を中心に研究を進め、以下の成果を得た。 1.βサラセミア患者におけるカルパイン-カルパスタチン系の解析-タイ国マヒド-ル大学S.Fucharoen教授との共同研究により、βサラセミアの赤血球中で、カルパイン、カルパスタチンがともに多い傾向を見出した。これは、異常ヘモグロビンの分解にこのプロテア-ゼが関与する可能性を示喚する。但し、症状の軽重との相関は認められなかった。 2.高血圧症における血中カルパスタチンレベルの解析-高血圧症患者血中でカルパスタチンが若干少い傾向を認めたが、個人差が大きいため慎重な検討を要するという結論に達した。 3.アルツハイマ-病アミロイド沈着におけるプロテア-ゼインヒビタ-の役割に関する解析-βアミロイド前駆体蛋白質のmRNAの発現を調べた結果、アルツハイマ-病患者脳で、Kunitz型セリンプロテア-ゼインヒビタ-をもつタイプの前駆体蛋白質の発現が有意に増加し、そのインヒビタ-ペプチドが患者脳脊髄液中に出現することを見出した。また、カルパスタチンも大脳皮質に広く存在することを観察した。これらの知見により、アルツハイマ-病脳でのアミロイド形成、即ち前駆体蛋白質の異化異常にプロテア-ゼインヒビタ-が関与する可能性が示喚された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Araki,W.: "Separation of protease activity from acetylcholinesterase of the electric eel" Neurochem.Int.19. 537-541 (1991)
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[Publications] Banasik,M.: "Specific inhibitors of poly(ADP-ribose)synthetase and mono(ADP-ribosyl)transferase" J.Biol.Chem.267. 1569-1575 (1992)
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[Publications] Tanaka,S.: "Age-related changes in the proportion of amyloid β-protein precursor mRNAs in Alzheimer's disease and other neurological disorders" Mol.Brain Res.(1992)
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[Publications] Ikemoto,M.: "Development of an efficient ELISA system for human liver arginase and its clinical applications" Clin.chem.(1992)
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[Publications] 田中 静吾: "プロテア-ゼインヒビタ-とアミロイドβ蛋白" 臨床科学. 27. 55-61 (1991)
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[Publications] 上田 國寛: "カルパスタチンの酵素免疫測定" 学術月報. 45. (1992)
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[Publications] Ueda,K.: "Progress in Clinical Biochemistry" Excerpta Medica, (1992)
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[Publications] 田中 静吾: "老年期の痴呆シリ-ズ第1巻痴呆の基礎研究-痴呆はどこまで解明されたか-" 中央法規出版, (1992)