1989 Fiscal Year Annual Research Report
エンドトキシン血症迅速診断のための新しい血漿前処理法の開発
Project/Area Number |
01870116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
遠藤 重厚 岩手医科大学, 高次救急センター, 講師 (30160394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 美幸 岩手医科大学, 医学部細菌学講座, 副手
稲田 捷也 岩手医科大学, 医学部細菌学講座, 嘱託講師 (80048446)
松岡 哲也 岩手医科大学, 高次救急センター, 助手 (10199771)
井上 義博 岩手医科大学, 高次救急センター, 講師 (30184774)
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Keywords | エンドトキシン血症 / 敗血症 / 迅速診断法 / 新過塩素酸処理法 / 血漿前処理法 / リムルステスト / 発色合成基質法 |
Research Abstract |
エンドトキシン(Et)の特異的な定量法として、カブトガニの血球抽出液を用いた発色合成基質法、エンドスペシ-テストがあるが、この方法による血漿中Et測定には、血漿を予め前処理し、修飾因子を除去する必要がある。この研究では、現在の過塩素酸処理法(PCA法)の欠点を補う我々の開発した新過塩素酸処理法(New PCA法)を実用化し、グラム陰性菌感染症の迅速診断法の確立およびEt血症と病態との関係把握のための基礎的臨床的研究を行う。本年度の研究結果1.広範囲熱傷、末期癌、外傷、術後、腹膜炎、カテ-テル留置、新生児、白血病等々における敗血症や重症感染症感染症患者のEtをNew PCA法と従来のPCA法で前処理し、グラム陰性菌感染症の診断を行った。その結果、血液培養の診断率が約10%に比較し、PCA法では30%程度に対してNew PCA法では60-70%が陽性と、高率な診断率であった。測定値はPCA法の約10倍高かった。エンドスペシ-とトキシカラ-を併用しβ-D-グルカン量から深在性真菌症を診断する際もNew PCA法はPCA法に比較し1.6倍定量値が高く、診断率も向上した。2.エンドトキシンショック発現とEt量は相関せず、微量のEtでもショックがおこり、血中腫瘍壊死因子(TNFα)の異常高値が先行することを明らかにした。さらにIL-1βがEtの関与の有無に関わらず敗血症性ショックの原因になることが示唆された。3.PCA処理沈澱中に真のEtがあることを兎発熱試験、マウス致死試験で確認した。Etの添加血漿を用いた実験で、PCA法では数分以内にEtが検出不可能になるがNew PCA法およびマウス致死活性では12時間でも検出できた。4.エンドトキシンは血漿中では直ちに蛋白と結合するが、エンドトキシン結合蛋白量は病期の後半には減少する場合が多いことがわかった。どの様な血漿蛋白が関与しているかは検討中である。New PCA法は現在全国的にその有用性が試みられこの方法は血漿中Et定量の標準的血漿前処理法になりつつある。
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Research Products
(23 results)
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[Publications] 遠藤重厚: "真菌による敗血症に対するMiconazoleの7著効例ーToxicolorによる迅速診断法を用いて" 基礎と臨床. 23. 153-157 (1989)
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[Publications] 遠藤重厚: "ARDSにおけるPolymorphonuclear Leukocyte Elastaseの変動" 血液と脈管. 20. 78-80 (1989)
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[Publications] 遠藤重厚: "血漿の新過塩素酸処理法とEndospecyおよびToxicolorを用いた真菌血症の迅速診断法" 岩手医誌. 41. 261-262 (1989)
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[Publications] 遠藤重厚: "EndospecyとToxicolorによる内毒素血症および真菌血症診断の意義" 救急医学. 13. 1015-1019 (1989)
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[Publications] 遠藤重厚: "敗血症性ショックにおけるエンドトキシン、サイトカインの臨床的意義" 救急医学. 13. 1115-1117 (1989)
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[Publications] Shigeatsu Endo: "Changes on polymorphonuclear leukocyte elastase activity in patients with ARDS." J.Iwate med.Ass.41. 721-724 (1989)
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[Publications] Shigeatsu Endo: "Necessity for the coexistence of endotoxin and cytokine in endotoxin-induced shock." J.Iwate med.Ass.41. 739-742 (1989)
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[Publications] 稲田捷也: "エンドトキシン定量のための新しい血漿前処理法(New PCA法)の確立" エンドトキシン臨床研究の現状と展望(羊土社). 27-36 (1989)
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[Publications] 稲田捷也: "エンドトキシン定量のための血漿前処理法(New PCA法)" 第1回エンドトキシン・シンポジウム講演記録集. 6-15 (1989)
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[Publications] Katsuya Inada: "A new perchloric acid treatment of human plasma for detection of endotoxih by an endotoxin-specific chromogenic test." Endotoxin,Advances in Experimental Medicine and Biology.256. 225-229 (1990)
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[Publications] 遠藤重厚: "エンドスペシ-とトキシカラ-による内毒素血症および真菌血症診断の意義" 第3回岩手のエンドトキシン研究会記録集. 20-32 (1989)
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[Publications] 吉田昌男: "感染症とエンドトキシン" 臨床婦人科産科. 43. 1224-1226 (1989)
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[Publications] 遠藤重厚: "エンドトキシン血症に対するポリミキシンB微量投与の試み" 救急医学. 13. 1683-1685 (1989)
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[Publications] 須田秀利: "新生児感染症の診断におけるエンドトキシン定量の有用性" エンドトキシン臨床研究の現状と展望(羊土社). 293-295 (1989)
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[Publications] 菊地充: "内因性エンドトキシンの腸管吸収におけるリンパ管系関与の可能性" エンドトキシン臨床研究の現状と展望(羊土社). 267-276 (1989)
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[Publications] 稲田捷也: "新しい血漿前処理法New PCA法と発色合成気質法をもちいた臨床検体のエンドトキシン定量の最近2年半の成績" 第2回エンドトキシン・シンポジウム記録集. (1990)
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[Publications] 遠藤重厚: "エンドトキシンショックにおけるエンドトキシン、TNFα,IL-1,IL-6の臨床的意義" 第2回エンドトキシン・シンポジウム記録集. (1990)
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[Publications] 稲田捷也: "改良前処理法と特異的測定法で得たヒト血中内毒素量とサイトカイン" 日本細菌学雑誌. 45. 70 (1990)
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[Publications] Shigeatsu Endo: "Early diagnosis of endotoxemia and fungemia by Toxicolor and Endospecy combined with New PCA method fpr treating plasma." Critical Care Med.
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[Publications] Shigeatsu Endo: "Clinical experience of miconazole on funfemia-using early diagnosis by Toxicolor and Endospecy combinig the New PCA treatment method plasma" Clinical Therapeutics. (1990)
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[Publications] Shigeatsu Endo: "Interaction between Endotoxin and cytokines in septic shock in humans." Critical Care Med.
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[Publications] Katsuya Inada: "Establishment and clinical applications of devised perchloric acid-treatment(New PCA method)" Microbiology and Immunology.
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[Publications] Shigeatsu Endo: "Small dese intramuscular injection and oral administration of pliymyxin B for endotoxemia." Archives of Emergency Medicine.