1991 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄移植における標識遺伝子を指標とした生着効果判定法の実用化
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01870117
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Research Institution | Department of Legal Medicine and Human Genetics Jichi Medical School |
Principal Investigator |
池本 卯典 自治医科大学, 医学部, 教授 (90048942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 えみ子 自治医科大学, 医学部, 助手 (20208341)
土田 修一 自治医科大学, 医学部, 助手 (20217326)
岩本 禎彦 自治医科大学, 医学部, 助手 (10232711)
梶井 英治 自治医科大学, 医学部, 講師 (40204391)
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Keywords | HLA / 骨髄移植 / RFLP / 組織適合性試験 / DPβ・DQβ・DRβプロ-ブ / DNA多型 / 電気泳動法 / 制限酵素 |
Research Abstract |
昨年度の研究の継続である。本年度は、MLC不適合、HLA適合の骨髄移植関係者について、DNAレベルの遺伝子解析を試み、生着率との関係につき分子生物学な実験を重ねた。MLCの主試験におけるstimulation Index(SI)は、非血縁者と比較しても低いものであったが通常の適合者に比較すると高値を示した。そこで、MLC活性を再検討するため、クラスII抗原遺伝子のRFLP解析を実施した。 常法により、関係者の末梢血から採血し、白血球分離、DNA抽出・精製を行った。そして得られた高分子DNAを制限酵素(MspI.SacI.HindIIIなど)によって切断し、アガロ-スゲル電気泳動.サザントランスファ-を経て、プロ-ブにDPβ CDNA.DQβ CDNA.DRβ CDNAなどを用い、ランダムプライマ-法により ^<32>Pを標識して用い検討した。 Dβプロ-ブ:SacIで切断しても、患者と提供者および両親間に異った多型は認められなかった。MspIで切断すると、約1.5kbpのバンドは提供者には認められる。なお約3.6kbpのバンドは提供者に認められ、患者には認めれなかった。DQβプロ-ブ:MspIで切断すると、約2.2kbpに患者のみバンドを認めた。DRβプロ-ブ:MspIで切断すると、患者は約3.9kbpのバンドを認めたが、そのバンドは提供者には欠落していた。しかし提供者は約4.3kbpのバンドを持っていた。患者の約3.9kbpバンドは父親より、提供者の約4.3バンドは母親より遺伝したものと推定される。また、MspIで切断すると患者は約2.3kbpにバンドを発現する。しかし、このバンドは関係者には認められず、逆に提供者および両親は約1.75kbpにバンドを認めた。以上のように、DPβ.OQβをプロ-ブにBMTの関係者について検討すると、提供者と患者間に若干の変異を認めた。HLAタイピングにより一致したDQ.DRにいずれも提供者と患者に相違のあることは、MLC活性の高値の原因のひとつになっているのかも知れない。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ikemoto Shigenori;Kajii Eigi et al: "Behavior of genetic markers in recipient after bone marrow trans plantation und problems in forensic medicine" Jaurmal of Forensic Science. 33. (1990)
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[Publications] Taketomi Akira;Ikemoto Shigenori: "The chance of paternity exclution after bone marrow trans plantation" Acta Criminologiae et Medicina Legulis Japonica. 57. 209-214 (1991)
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[Publications] 池本 卯典 他: "電気泳動法によって検出される遺伝標識の骨髄移植における挙動について" 生物物理. 35. 303-306 (1991)
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[Publications] 池本 卯典,梶井 英治: "赤血球系前駆細胞の血液型抗原発現機序" Pharma Medica. 9. 13-17 (1991)
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[Publications] 池本 卯典: "血液病学(三輪 史朗・青木 延雄・柴田 昭編)" 文堂堂(東京), (1992)