1991 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の抗菌性蛋白を利用した耐病性transgenic植物の作製
Project/Area Number |
01890004
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
名取 俊二 東京大学, 薬学部, 教授 (50012662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小鞠 敏彦 日本たばこ(株), 遺伝育種研究所, 研究員
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Keywords | transgenic植物 / タバコ / ザルコトキシンI.II / 抗真菌性蛋白 / 抗菌性蛋白 / 耐病性植物 / センチニクバエ / cDNA |
Research Abstract |
この研究は、センチニクバエの産生する抗菌性蛋白のCDNAをタバコに組みこみ、耐病性の植物の作出を試みようとするものである。本年度は、まず昨年度単離した、抗真菌性蛋白の性質を検討した。植物の病原菌としては、バクテリアよりも真菌の方が重要で、真菌に有効な蛋白があればその利用価値はきわめて高い。センチニクバエの抗真菌性蛋白の性質の中、次の三点は注目すべきものであった。第一に、この蛋白は、抗菌性蛋白ザルコトキシンIの共存下に、きわめて強い抗真菌活性を示すことがあげられる。この事実は、この蛋白とザルコトキシンIを同時に発現させることにより、きわめて強い防御システムを構築できる可能性を示している。第二に、この蛋白の植物細胞に対する毒性は殆んど認められないことである。これは、植物中に発現させる場合重要な性質である。第三に、この蛋白は、カンジダアルビカンスだけでなく、酵母類に対しても有効である。このことは、この蛋白の抗菌スペクトルがかなり広いことを示唆している。以上、この抗真菌性蛋白の検討結果は、将来のtransgenic植物の作製に希望を持たせるものであった。つぎに、ザルコトキシンIおよびIIのcDNAを組み込んだ植物体中の、抗菌性蛋白の発現について検討した。これは昨年度からの継続検討課題である。いずれの蛋白のmRNAも、ノ-ザン解析で見る限り十分存在すると思われるにもかかわらず、蛋白は検出できなかった。そこで、これらの植物体からpoly(A)RNAを抽出し、網状赤血球抽出液中で翻訳させて、翻訳産物の中に、ザルコトキシンIまたはIIが存在するかどうか、免疫ブロット法で調べた。その結果、この場合にも蛋白の存在は証明できなかった。おそらく、これらの蛋白のcDNA由来のmRNAは、何らかの理由で翻訳されないらしいことが判明した。今後は、何故mRNAが翻訳されないのか、検討して行く必要がある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Rika Nanbu: "Preferential deadenylation of Sarcophaga lectin mRNA during its acute phase expression" Biochim.Biophys.Acta. 1088. 71-76 (1991)
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[Publications] Takahito Jomori: "Molecular cloning of cDNA for lipopolysaccharide-binding protein from hemolymph of the american cockroach,Periplaneta americana" J.Biol.Chem.266. 13318-13323 (1991)
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[Publications] Hiromi Sugiyama: "A novel mechanism of Sarcophaga lectin gene expression" Eur.J.Biochem.200. 495-500 (1991)
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[Publications] Hiroto Komano: "Involvement of sapecin in embryonic cell proliferation of Sarcophaga peregrina (flesh fly)" FEBS Letts.289. 167-170 (1991)
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[Publications] Joun Woo Kim: "Purification of a stage-specific and sequence-specific DNA-binding protein for the arylphorin gene of Sarcophaga peregrina" Biochim.Biophys.Acta. 1089. 21-26 (1991)
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[Publications] Nobuaki Kawaguchi: "Involvement of Sarcophaga lectin in the development of imaginal discs of Sarcophaga peregrina in an autocrine manner" Devel.Biol.144. 86-93 (1991)