2002 Fiscal Year Annual Research Report
レジオネラ属細菌がバイオフィルムを形成する機序の遺伝学的、生化学的研究
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01F00132
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 真一 九州大学, 医学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
史 君綽 九州大学, 医学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | レジオネラ / バイオフィルム / 温度調節 |
Research Abstract |
環境中のLegionella pneumophilaは他属の細菌に作られたバイオフィルムに宿ることはあるが、自らがバイオフィルムを形成するかどうかは報告されていない。平成13年度の研究で、レジオネラ属菌はバイオフィルム形成能があり、しかも温度により形成が調節されている事が示唆された。 平成14年度の研究で、更に以下の知見が得られた: 1.レジオネラ属菌のバイオフィルム形成能 総計50株38種のレジオネラ属菌のバイオフィルム形成能を検討した結果、Legionella pneumophila種は他種のレジオネラよりバイオフィルム形成能が高いということが認められた。この性質は、本菌が人工的水環境で生存するメカニズムと関係している可能性がある。従って、L.pneumophilaがレジオネラ属菌の中で、ヒトから最も多く分離される原因の一つとも考えられる。 2.温度によるバイオフィルム形成の調節 L.pneumophilaのバイオフィルム形成とその性質は、温度により調節されている。 (1)形成速度:42℃、37℃では速いが、25℃では遅い。 (2)厚さ:42℃、37℃では厚いが、25℃では薄い。 (3)付着安定性:42℃、37℃では安定性が低いが、25℃では高い。 (4)形態:42℃、37℃では主に長い繊維状の形態を取るが、25℃では短い杆状の形態を取る。 25℃は自然環境でもあり得る温度だが、42℃や37℃は、温泉や浴槽など人工的な施設で出会える機会が比較的多い。高温な環境で生存し続けるL.pneumophilaが有する生存メカニズムは、この温度調節と関わりがあると考えられる。 現在、green fluorescent protein(GFP)を発現した.L.pneumophilaを用いて、37℃及び25℃でのバイオフィルムの形成過程を、共焦点蛍光顕微鏡で観察している。同時に、この温度調節に関わる遺伝子群をtransposon mutagenesis手法で探求している。
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[Publications] Laurie AD, Bernardo LM, Sze CC, Skarfstad E, Szalewska-Palasz A, Nystrom T, Shingler V.: "The Role of the Alarmone (p)ppGpp in sigma N Competition for Core RNA Polymerase"J Biol Chem.. 278(3). 1494-1503 (2003)
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[Publications] Sze CC, Bernardo LM, Shingler V.: "Integration of global regulation of two aromatic-responsive sigma(54)-dependent systems : a common phenotype by different mechanisms"J Bacteriol.. 184(3). 760-770 (2002)