2002 Fiscal Year Annual Research Report
二次イオン質量分析計を用いた多元素同位体分析・微量元素分析に基づく隕石研究
Project/Area Number |
01F00199
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
比屋根 肇 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JABEEN Iffat 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 二次イオン質量分析計 / カソードルミネッセンス / 炭素質隕石 / コンドルール / 孤立オリビン / 酸素同位体 / 微量元素 |
Research Abstract |
炭素質コンドライト中に存在する孤立オリビン粒子の起源を調べるため、二次イオン質量分析計をもちいた精密な酸素同位体分析をおこなった。孤立オリビン粒子については、ガスからの凝縮物なのか、コンドルールメルトから結晶化したものなのか、いまだに議論があり決着がついていない。本研究ではマーチソン隕石を試料としてもちいた。凍結粉砕法により孤立オリビン粒子を分離し、コンドルールとともにガラス円盤にエポキシ樹脂で固定し研磨した。比較のため粉砕していないマーチソン隕石の薄片も準備した。これらの試料に対し、走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析による元素分析、カソードルミネッセンスイメージングおよび二次イオン質量分析計による酸素同位体分析をおこなった。コンドルールのオリビンについては、マグネシウムに富む(=鉄に乏しい)オリビンは酸素の三同位体プロット上で、通常のCAIの混合線(CCAM線)に乗るのに対し、鉄に富むオリビンは地球の分別線より2パーミル低いところに分布した。鉄に富む孤立オリビンは、鉄に富むコンドルールオリビンと酸素同位体組成が重なり、同一起源であることを示唆する。ところがマグネシウムに富む孤立オリビンは、上記のいずれとも分布が異なり、CCAM線から大きく右側にはずれる分布を示した。これはまったく新しい発見である。この結果は、マグネシウムに富む孤立オリビンがマグネシウムに富むコンドルールオリビンとは別起源であることを強く示唆する。前者は化学組成の点でも異なっており、CaO濃度が高く、MnO濃度が低いという特徴がみられた。すなわち、難揮発性の成分に富んでいるのである。このことは、これらの孤立オリビン粒子がガスからの凝縮でできたことを示唆しているのかもしれない。しかし、同じくガスからの凝縮で生成されたと考えられるアメーバオリビンとの関連については現時点では不明である。
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