2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分裂制御キナーゼの分子連携とその調節異常による腫瘍形成機構
Project/Area Number |
01J00391
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
広田 亨 熊本大学, 医学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 分裂期キナーゼ / 短鎖RNA干渉法 / 染色体不安定性 / リン酸化 / キネトコア / 細胞分裂 / CENP-A / Aurora-A |
Research Abstract |
無秩序の細胞増殖を示す悪性腫瘍は、ゲノムの不安定性がみられ、細胞分裂期に何らかの異常を伴うと考えられるが、依然その分子背景は乏しい。われわれは種を超えて普遍的に存在するAurora-Aキナーゼに焦点を絞り、Aurora-Aのヒト細胞における役割を明らかにすることで、細胞分裂のメカニズムを解き明かし、さらに、その調節異常によって誘導されるゲノム安定性との関連を調べることを目的として本プロジェクトを開始した。 昨年度までに、ツー・ハイブリッド法によるAurora-Aの会合分子の網羅的検索を行った。その結果、キネトコア構成たんぱくであるCENP-Aを同定し、両蛋白の相互作用をin vitroの実験等により示した。本年度は、引き続きAurora-AによるCENP-Aリン酸化の意義についてさらに詳細に解析し、それらを論文発表することを目標に研究を進めた。 以下に本年度の成果を要約する。 1)ヒト細胞に対して短鎖RNA干渉法によるAurora-Aの発現抑制を行い、CENP-Aのリン酸化状態を検討した結果、確かにin vivoでAurora-AがCENP-ASer7をリン酸化することが分かった。さらにこのリン酸化は、分裂前期はAurora-Aが、前中期はAurora-Bが、それぞれ連続的に担当していることを見出した。 2)CENP-A Ser7のリン酸化はキネトコアと紡錘糸の接続に必要であったが、スピンドルチェックポイントシグナルを発信するというキネトコアの機能に関与していなかった。 3)CENP-A Ser7のリン酸化を受けない細胞をタイムラプス顕微鏡で観察すると、染色体が不均等分配されるにもかかわらず、細胞は分裂することが分かり、このリン酸化が細胞の染色体安定性を保証するために必須の修飾であることが示された。
|
-
[Publications] Morisaki, T et al.: "WARTS tumor suppressor is phosphorylated by Cdc2/Cyclin B at spindle poles during mitosis"FEBS Lett. 529. 319-324 (2002)
-
[Publications] Marumoto, T et al.: "Roles of aurora-A kinase in mitotic entry and G2 checkpoint in mammalian cells"Genes Cells. 7(11). 1173-1182 (2002)