2002 Fiscal Year Annual Research Report
都市近郊林に生育するツツジ属における節足動物群集に関する研究
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01J03895
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉浦 真治 京都大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1) (70399377)
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Keywords | 植食性昆虫 / 捕食寄生性昆虫 / 群集構造 / 節足動物 / ツツジ属植物 |
Research Abstract |
京都市北区京都大学上賀茂試験地において、ツツジ属植物、モチツツジおよびコバノミツバツツジが、ヒノキ、コナラ林下に豊富に生育している。モチツツジは一年中葉をつける常緑樹種、コバノミツバツツジは秋に葉を落とす落葉樹種である。 平成14年度の研究は、上記2種のツツジ上で、季節を通じて、定量的に節足動物を採集し、そのうち植食性昆虫については飼育を行い、その天敵である捕食寄生性昆虫の調査を行った。これまで3年間のデータを解析した結果、80種の植食性昆虫、77種の捕食寄生性昆虫が記録された。多くの植食性昆虫の幼虫および蛹からは1種類以上の寄生蜂または寄生蝿が記録され、植食性昆虫の種類によっては、最大18種におよぶ捕食寄生性昆虫群集を形成していた。このような植食性昆虫あたりの捕食寄生性昆虫の種類数の違いは、植食性昆虫のサンプルサイズに大きく依存していたが、植食性昆虫の生活形などの生態的な要因も重要であると考えられた。また、捕食寄生者の種数が増加すれば、植食性昆虫の死亡率を上昇させる可能性が示唆された。 次に、モチツツジの花が植食性昆虫に特に食害されるのに注目して、モチツツジの花の量とその被食率についての調査を行い、今年度の研究結果を含め連続4年間のデータを検討した。結果、モチツツジの花は、主に、ゾウムシ科1種とハマキガ科1種、シャクガ科2種の各幼虫によって食害されていることがわかった。植食性昆虫によるつぼみ・花の食害率は80-90%と一貫して高く、年および株でのつぼみ生産数に左右されなかった。これは、植食性昆虫の食害が、つぼみ生産数の変動に直接的な影響を与えていないことが示唆された。しかしながら、高い被食率はモチッツジの繁殖に与える影響は極めて強いことがわかった。
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[Publications] S.Sugiura: "Temporal response of parasitoids to the density of the leafroller Eudemis gyrotis (Lepidoptera, Tortricidae) on bayberry, Myrica rubra (Myricaceae)"Environmental Entomology. 31. 988-994 (2002)
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[Publications] S.Sugiura: "A cecidophagous weevil, Curculio albovittatus (Coleoptera : Curculionidae), in the gall of Pontania sp. (Hymenoptera : Tenthredinidae)"Entomological Science. 5. 193-196 (2002)
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[Publications] S.Sugiura: "Tortricid moths reared from cecidomyiid bud galls on willows"Transactions of the Lepidopterological Society of Japan. 53. 116-118 (2002)
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[Publications] S.Sugiura: "A record of a cecidophage from Lecithoceridae"Transactions of the Lepidopterological Society of Japan. 53. 12-14 (2002)
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[Publications] 杉浦真治: "変形菌子実体から羽化したキノコバエPlaturocypta punctum (Stannius)"昆蟲ニューシリーズ. 5. 143-144 (2002)
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[Publications] K.Yamazaki: "Environmental factors affecting the overwintering distribution of ground beetles (Coleoptera : Carabidae) at a forest floor in central Japan"Entomological Science. 5. 125-130 (2002)