2002 Fiscal Year Annual Research Report
Mordell-Weil latticeに関する研究
Project/Area Number |
01J06727
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
西山 賢一 埼玉大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | モーデル・ヴェイユ群 / モーデル・ヴェイユ格子 / 楕円曲面構造 / K3曲面 |
Research Abstract |
最近、K3曲面上の楕円構造は、モーデル・ヴェイユ群が有限なものに関しては、島田氏によって全て分類された。またこれにより、モーデル・ヴェイユ群のtorsion partも分類されたので、楕円構造の格子としての特異fibreの型も全て分類された。しかし、モーデル・ヴェイユ群のランクが正のものについては、まだあまり分かっていない。そこでまず、モーデル・ヴェイユ群のランクrと、特異K3曲面Xのtranscendental格子T_Xの行列式との関係を考えた。 今、X^<(r)>を、モーデル・ヴェイユ群のランクがrの楕円構造をもつ特異K3曲面とする。モーデル・ヴェイユ群が有限(すなわちr=0)のときは、島田、Zhang両氏の分類によって、3【less than or equal】detT_<X(0)>【less than or equal】3600だと分かる。そこで、ランクが正のものについて考えた。 私は、ランクr>0を固定したとき、モーデル・ヴェイユ群のランクがrの楕円構造をもつ特異K3曲面X^<(r)>を、無限個見つけだした。これにより、T_<X^<(r)>>の行列式は、最大値を持たないことが分かった。そこで、T_<X^<(r)>>の行列式の最小値をdT(r)として、それを求めることを考えた。 今までに、求めることができたのは、r=1,2のときであり、その値はそれぞれ、dT(1)=3、dT(2)=7になった。その他の場合(3【less than or equal】r【less than or equal】18)についても、dT(r)【greater than or equal】11だということまで分かった。 上のことをモーデル・ヴェイユ格子に当てはめると、特異K3曲面X^<(r)>上の楕円構造のランクrのモーデル・ヴェイユ格子MW(X^<(r)>)の行列式は、最大値を持たないことが分かった。同様に、MW(X^<(r)>)の行列式の最小値をdMW(r)とすると、dT(r)を与える楕円構造は、dMW(r)を与える可能性を持っている。そこで、dMW(r)のとりうる範囲をある程度絞ることができた。
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