2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J11528
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
舟山 亮 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | テロメア / テロメレース / 幹細胞 / マウス |
Research Abstract |
テロメレースは、染色体末端テロメアDNAを合成する酵素である。本研究の目的は、成体マウスのテロメレース陽性正常細胞を同定し、テロメレース陽性細胞が幹細胞系譜に相当するかどうかを明らかにすることである。これまでに、マウステロメレース触媒サブユニット遺伝子mTertを用いてレポーターコンストラクトを作製し、このコンストラクトをもつトランスジェニックマウスを作製した。しかし、作製したマウスでは、レポーター遺伝子の発現が認められなかった。この理由として、導入したコンストラクトDNAがメチル化修飾を受けているために、レポーター遺伝子の発現が負に制御されている可能性が考えられた。 そこで、レポーター遺伝子の発現がメチル化修飾により影響されないようにするために、通常メチル化修飾を受けていない、内在性のmTert遺伝子座を用いたノックインマウスを作製し、テロメレース陽性細胞を可視化する方法を考えた。マウス胚性幹細胞(ES細胞)のmTert遺伝子座に、レポーター遺伝子を相同組換えにより挿入したクローンを単離した。マウスES細胞は、mTert遺伝子を発現しており、テロメレース活性をもつことがすでに知られている。そこで、はじめに、作製したESクローンにおけるレポーター遺伝子βgeoの発現を調べた。βgeoは、β-galactosidase遺伝子とネオマイシン耐性遺伝子からなる融合遺伝子である。単離したESクローンは、野生型ES細胞に比べてネオマイシン耐性を示したので、導入したレポーター遺伝子が細胞内で発現していることが分かった。しかし、β-galactosidaseの活性をX-Gal染色により検出することはできなかった。これは、レポーター遺伝子の発現量が低いためであると考えられた。現在、低レベルの発現量でも高感度に検出できるレポーターシステムを含めた、さまざまな実験系を模索中である。
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