1990 Fiscal Year Annual Research Report
カナダ北極海周辺における地下氷賦存地域の自然環境の研究
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02041002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤野 和夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50001649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JUDGE A.S. Geological Survey of Canada, Terrain Sci., Chief Scie
MICHEL F.A. Carlton University, Dept. of Geology, Ass. Profes
清水 収 北海道大学, 農学部, 助手 (20178966)
佐藤 冬樹 北海道大学, 農学部附属演習林, 助手 (20187230)
松田 彊 北海道大学, 農学部附属演習林, 助教授 (30002075)
遠藤 辰雄 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20001844)
佐藤 誠司 北海道大学, 理学部, 助教授 (30000813)
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Keywords | 地下集塊氷 / 少氷丘 / 永久凍土 / ウイスコンシン氷床 / 析出氷起源説 / 埋没氷起源説 |
Research Abstract |
北極海沿岸に広範囲に存在する地下賦存氷の実体を雪氷学的、地球化学的及び地質学的手法を駆使して総合的に把握し、その成因、生成過程を明らかにすると共に、それが形成された時期、環境を永久凍土と関連づけて明らかにする。そのために夏期に地下集塊氷を内蔵する段丘とその周辺、少氷丘等の地質調査、地形測量を行い、堆積、成層構造から生成年代の解明を試み、冬期に地下賦存氷のボ-リングを行いコア資料を採集し結晶構造、化学成分分布を解析し、氷体の成因、生成過程を解明し、更にインパルスレ-ダ-を用い、賦存する氷体の規模、内部構造の探査を行い、氷体とその上、下部の永久凍土との関係を明らかにした。これらの結果を総合し、この地域の氷河期から間氷期を経て現在に至る水収支と環境変動の関連の解明を試みた。これまでの調査で得られた資料解析の結果、以下の諸点が明らかとなった。段丘、少氷丘周辺の精密測量の結果、氷体を内蔵する段丘は、氷体の融解崩落、波浪による侵食等の熱的擾乱により、予想外の速い速度で地形変化が進行、又、同様の侵食過程が過去に段丘周辺の各所で進行した形跡が明らかとなった。この地域に存在する地下氷の生成時期は、地下集塊氷に代表されるウイスコンシン氷期の残留氷と、ヒプシサ-マル以降に形成され、現在も生成を継続している少氷丘、氷楔の氷体の2つ氷体があり、それらが地下に混在、賦存していることが明かとなった。地下集塊氷氷体の結晶構造、成層構造、化学成分分布、化石花粉分布等の解析結果のいずれも、氷体が析出氷で形成されているのではなく、凍結氷により形成されていることを示し、これらの結果は、これまで定説であった地下集塊氷氷体の析出氷起源説を否定し、我々が提出している氷体埋没氷起源説を支持するものである。これらの解析結果の一部は、既に日本雪氷学会、カナダ地質学会に於て発表され、多数の研究者の支持を受けた。
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