1991 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカ北部における生業牧畜と地域商業網に関する人類学的研究
Project/Area Number |
02041012
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 俊 筑波大学, 歴史人類学系, 助教授 (00114497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ゲタッチョ カサ アデイスアババ大学, エチオピア研究所, 専任研究員
重田 真義 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助手 (80215962)
篠原 徹 国立歴史民俗博物館, 民俗部門, 助教授 (80068915)
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Keywords | 商業牧畜 / 仲介商業網 / 水場管理組織 / オロモ系諸民族 / ソマリ系諸民族 / 民族間関係 / 地域商業史 / ラクダのキャラバン |
Research Abstract |
ゲタッチョ・カサ氏を招聘してガレ族の歴史的背景を中間総括した。これをうけて、共同体の構造、商人家族の構成、生業活動、商業活動と商業網などのインテンシブな調査をおこなった。この結果、ガブラ族の生業活動と家畜文化複合、ガレ族の生業活動と共同体の構造、3国国境地域の仲介交易網、ガレ族の仲介商人の社会関係網などに関して詳細な資料をえることができた。そして、この地域を商業牧畜という視点から総括できるように思われる。さらに、エチオピア南東部の商業網からみると辺縁に位置するアリ族とコンソ族を調査したことによって、この商業網の地域的、人類学的特性を理解しやすくなったと思われる。 1.仲介交易網と担い手:3国国境における商業活動は仲介交易網として把握できる。ドロとモヤレの町はエチオピア高原南部と南ソマリア西部やケニア北部をつなぐ中継地として重要な役割をはたしている。とくに、国境地域の交易路はガレ族の商人によって担われ、エティオピア高原南部につづく高易路はボラナ族、グジ族、グラゲ族の商人によって担われている。一方、北ケニアでは、ガレ族のほかにソマリ族の商人も積極的に商業活動を行っている。さらに、コンソ族は上記の交易網の町場に散在して井戸掘、大工、荷役などの賃労働に従事している。 2.仲介商人の社会関係網:ガレ族は国境地域の重要な流通拠点に家族の一部を住まわせたり、商家に修行にだしたりして、商業活動に積極的に関わっている。とくに商人は、親族関係や僚友関係を介して大規模な家族団を形成しているが、北ケニアではガレ族がソマリア人の家族団と連合する傾向を強く示すのにたいして、エチオピアのガレ族は同一系譜団員や異なる系譜団員との連合をこころみる傾を強くしめしている。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 篠原 徹: "エティオピア遊牧民紀行" 歴博. 47. 10-11 (1991)
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[Publications] 篠原 徹: "ライフ・ヒストリ-に現れた天皇" 国立歴史民俗博物館研究報告. 36. 109-126 (1991)
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[Publications] 重田 真義: "世界の民:光と影ー国家と近代化文明のはざま〈アリ人〉" 信濃毎日新聞5月13日・14日・15日. (1991)
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[Publications] 重田 真義: "Diversity of food among the Ali,Ensete cultivaters" UNESCO International Symposium Proceedings. (1991)
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[Publications] 重田 真義: "人とエンセ-テの共生的関係" 季刊民族学. 59. 100-109 (1992)
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[Publications] 曽我 享: "庵美の闘牛" 日本民俗学. 180. 1-24 (1991)
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[Publications] 篠原 徹(共著): "環境に関する民俗的認識と民俗技術的適応" 国立歴史民俗博物館, 400 (1991)
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[Publications] 佐藤 俊(共著): "ヒトの自然誌" 平凡社, 622 (1991)
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[Publications] 佐藤 俊(共著): "21世紀のアフリカ" 頚草書房, 550 (1992)