Research Abstract |
本研究の目的は,現在急速に変容・消滅しつつある台湾先住民族(高山族及び平地居住の平埔族)の言語と文化を記録するとともにその変容の過程を現地調査を通して明らかにすることにある。今年度は、7月ー9月の間に土田,森口,笠原の3名が,現地調査を行った。土田は,8月15日より9月30日の期間に,台湾の南投県の日月潭付近に居住するサオ族の言語の調査を聞き取りの形式で行った。また,サオ族の調査後は,台東県から花蓮県に分布しているカバラン族の調査を花蓮県で行い,その後,過去数年間の間追跡調査をしているヤミ族の調査を行った。森口は,7月16日から9月16日までの間に花蓮県で前述のカバラン族の調査と屏東県でルカイ族の言語調査を,そして,南投県でブヌン語の調査を行った。また,笠原は,7月27日から9月16日の間に台東県でプユマ族の,屏東県でパイワン族とルカイ族の文化変容の人類学的調査を実施した。 この調査の結果,土田,森口は言語的な面から現在の状態を記録する目的で,語彙,文法,テキストの収集と保存を行った。この際に使用したのは聞き取りによるノ-ト類,録音テ-プなどであり,それ以外に,現実の会話などを記録するためにヴィデオ・テ-プとスライドによる撮影を行った。 また,笠原は,文化人類学的な面から系譜,親族,儀礼などの現在の記録を行うと同時に,文化変容の実態を明白にするために古老達の記憶に残っている過去の体系を引き出し,記録する事をおもに行った。この場合も聞き取り調査によるノ-ト・カ-ド類,スライドとヴィデオの撮影フィルムが記録として残っている。今年度の調査結果は現在鋭意整理している段階で,この結果をもとに,より効率のよい調査をするために準備中である。
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