1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02041019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土田 滋 東京大学, 文学部, 教授 (90014505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 政治 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (70130747)
森口 恒一 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (10145279)
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Keywords | 台湾高山族 / サオ語 / カバラン語 / シラヤ語 / ブヌン語 / ツォウ族 / パイワン族 / 言語変化 |
Research Abstract |
本研究の目的は,現在急速に変容・消滅しつつある台湾先住民族(高山族および平地居住の平埔族)の言語と文化を記録すると同時にその変容の過程を現地調査を通して明らかにすることにあり、1991年度は,前年度に引き続いて7ー9月の間に土田,森口,笠原の3名が現地調査を行った。土田は8月15日から9月30の期間に,台湾の南投県・日月潭付近に居住するサオ族の言語調査を聞き取りの形式で行い,また台南県でシラヤ語,その後,花蓮県においてカバラン語の調査を行った。そのうちシラヤ語については,インフォ-マントを捜したものの該当者がなく,死語になったものと推定できる。森口は7月16日から9月20までの間に南投県・埔里鎮山岳地帯のブヌン語の調査と,上記土田と協力してシラヤ語の調査を行い,さらに花蓮県においてカバラン語の調査を行った。笠原は8月1日から9月20日までの期間に,高雄県・三民郷のツォウ族,次いで屏東県のパイワン族の居住地で文化変容に関する人類学的調査を実施した。 この調査の結果,土田,森口は,シラヤ語を除くサオ,ブヌン,カバラン語に関して語彙,文法,テキストの収集と保存を行った。収集できた資料は,聞き取りによるノ-ト類,録音テ-プなどである。なお,シラヤ語については言語使用者の消滅を確認できたことが台湾先住民族の言語研究において大きな意義をもつことと思われる。また笠原は,文化人類学の立場から系譜,儀礼,口頭伝承などの記録を行うとともに,とくに変容の著しいツォウ族カナカナブ系統,パイワン族ラヴァル系統の文化変化に関して新しい知見と研究上の展望を得ることができた。 以上の調査結果は目下整理中であり,次年度中に調査報告書として出版・公表する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 笠原 政治: "出産をめぐる台湾ルカイ民族の社会慣行" 横浜国立大学人文紀要(第1類). 38. (1992)
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[Publications] 土田 滋,山田 幸宏,森口 恒一: "Linguistic Materials of the Formosan Sincized Populations I;Siraya and Basai" 東京大学文学部, 257 (1991)