1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02041038
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小谷 凱宣 名古屋大学, 教養部, 教授 (40111091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出利葉 浩司 北海道開拓記念館, 事業部, 学芸員 (40142088)
切替 秀雄 鳥取大学, 教養部, 助教授 (20205040)
オイルシュレーカ゛ー ハン ドイツ日本研究所, 研究員
佐々木 利和 東京国立博物館, 考古課, 主任研究官 (80132702)
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Keywords | アイヌ文化 / アイヌ物質文化 / 物質文化研究 / 博物館資料 / 北方文化研究 / 北太平洋地域研究 |
Research Abstract |
本年度はブルックリン博物館の未整理のアイヌ資料を重点的に調査した。また、国立自然史博物館とペンシルバニア大学博物館のアイヌ資料の補充調査、コ-ネル大学とダ-トマス大学フッド博物館の少数のアイヌ資料調査も実施した。これによりアメリカ東部と中西部の資料調査は一応終了した。残るのは、西海岸地方の博物館のアイヌ資料だけとなった。 ブルックリン博物館のアイヌ資料はこれまで約120点が研究者に公開されていただけであるが、その他の約700点の資料はほぼ1930年ごろから放置されたままであった。今回の同館における調査により、総計約800点の全資料が研究に供される状態になった。今後のアイヌ物質文化研究に貢献するところは大きいと考えている。 同館のアイヌ資料は、北米最大のアイヌ・コレクションである。明治後半にF・スタ-、S・キュリン、ジョン・バチェラ-らにより北海道南部の胆振、日高地方のアイヌ村落で収集されたものであることが判明し、それ自体が貴重な学術資料であるだけでなく、明治年間のアイヌ文化の変化過程の復原に益すると考えている。 昨年度来の現地調査により、ブルックリン博物館、アメリカ自然史博物館、ペンシルバニア大学博物館、国立自然史博物館の4館に明治年間に収集された、基本的な学術情報の付されたアイヌ資料が千点余り存在することが明らかになった。収集者の経歴、収集過程の経過、日米間の国際関係、F・ボアズらを中心とするアメリカ人類学の興隆史、ボアズが推進した「ジェサップ北太平洋調査」の結果などを総合的に検討し、博物館資料の研究を通して、北方文化の一部をなすアイヌ文化研究史を見直し、明治末のアイヌ文化に新しい光をあてることができると考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小谷 凱宣: "アメリカ東部の博物館ーアメリカ自然史博物館のアイヌコレクション" 民博通信. 51. 2-8 (1991)
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[Publications] 小谷 凱宣: "北米のアイヌ資料に関する古記録類ー在米アイヌ関係資料の民族学的研究(経過報告1)" 日本文化の構造と異文化変容システム. 67-83 (1991)
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[Publications] 小谷 凱宣: "ボアズ、ピウスツキ、北方文化" Arctic Circle:北方民族博物館友の会・季刊誌. 1. 4-8 (1992)