1990 Fiscal Year Annual Research Report
同所的ツェゴチンパンジーおよびニシロ-ランドゴリラの比較社会・生態学的研究
Project/Area Number |
02041046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 末壽 京都大学, 理学部, 助手 (80153419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
オコ ルフィン A. コンゴ人民共和国森林省, 自然保護局, 主任研究員
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Keywords | ロ-ランドゴリラ / ツエゴチンパンジ- / 種間関係 / 社会構造 / 生態 / ドキ保護区 / 熱帯多雨林 |
Research Abstract |
ドキ保護区で1990年9月から12月まで、ゴリラとチンパンジ-の生態と社会について調査した。コンゴ南部の乾燥地帯の類人猿の分布調査は、予算の削減によって出来なかったが、協同研究者のオコがオザラ公園のサバンナと森林がドキと比較する調査地として有望であることを、本調査以後に確かめた。 ドキでは昨年は果実が全体に不作であったが、ゴリラ、チンパンジ-の植物食物は約50種と40種採集できた。ゴリラはスワンプと疎開林を遊動して植物繊維を主食とし、チンパンジ-は少ない果実をもっぱら疎開林で捜してその糞の80%以上を種子が占めた。両種の食物は重なりが非常に大きいが、果実が少ないとゴリラがすぐさま繊維食に移行するので、食物競合は顕在化しにくいことが判明した。 ドキではゴリラの集団のサイズは2ー20頭程度で、5ー7kmごとに5ー6集団が集中する地域と空白地域がある。両地域間には大きな植生上の違いはなく、この集中構造はコミニュティ-の存在を示唆している。これは、人類とアフリカの社会の進化を考える上で、重要な発見となる可能性が高い。 ゴリラの生息密度は集中域で1.6頭/km^2、全体が0.8頭/km^2である。チンパンジ-の密度はこれよりやや少ないか同等である。 チンパンジ-の遊動集団には、互いに合流しない2組があり、単位集団の存在がほぼ明らかになった。パントグラント、ハンドリ-チングといった東アフリカのチンパンジ-がもつ挨拶行動が見られた。4ー5歳のコドモがよく単独行動をするという、これまでのチンパンジ-と異なる行動パタ-ンも確認された。 ゴリラは、コンゴ南部のサバンナの川辺林にも生息することが確認できた。これも新発見である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Nishihara,S.Kuroda: "SoilーScrutching Behavior of Western Lowland Gorillas in the Ndoki Resenve, Nothern Congo." Folia Primatologica. (1991)
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[Publications] S.Kuroda,R.A.Oko: "Distribution of Gorillas and Chimpanzees in Northern Congo." Primates.
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[Publications] 黒田 末壽: "コンゴ北部のチンパンジ-とゴリラ" モンキ-. (1991)
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[Publications] S.Kuroda: "Ecological Interspecies Relations between gorillas and Chimpanzees in the NdokiーNouabale Reserve,Nothen Congo." Proceedings of the XIIIth Congress of International Primatological Society. II. (1991)
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[Publications] S.Kuroda: "Sympatric gorillas and Chimpanzees in the NdokiーNouabale Reserve." Primate Conseruation.
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[Publications] 黒田 末壽: "ザイ-ル及びコンゴにおける自然保護計画" 第35回プリマ-テス研究会報告集.