1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02041073
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 勝彦 日本工業大学, 工学部, 教授 (50049706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒津 高行 日本工業大学, 工学部, 専任講師 (20215114)
波多野 純 日本工業大学, 工学部, 教授 (40049721)
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Keywords | ネパ-ル / 文化財保存 / 僧院建築 / 解体調査 |
Research Abstract |
昨年度に引続き、南アジア建築の中でも独自の伝統的な建築物を多く残すネパ-ルで、世界の文化史上にも貴重な文化財とされながら、保存が充分でない建築のうち、とくに急激に失われてきている仏教僧院の建築技術の把握に努めると共に、今年度は、解体結果を基に保存対策の立案から実験的に復原案の実施に至っている。具体的には、解体した部材の詳細な実測、接合方法の原則の発見、保存対策を総合して復原設計図を詳細図・施工図に至るまで作製し、その実施を試みて、現在技術との齟齬の解消、あるいは伝統技術の回復に当った。具体的には、設計寸法、計画法の解明と図面作製、れんが寸法の把握と積み方の解明及び改良、彫像の同定と意匠性との関連考察を行なった。 これらの保存対策のほか、改良すべき点として、脆弱な構造の改良のため、基礎の地耐力検査にもとずく設計、れんが壁臥梁の改良、間仕切り壁の構造化などを考古局のスタッフとともに検討した。また、柱は外見上は問題ないが、内部はほとんどの根元が腐っており、これを真実性をより確保する根継ぎの手法を考察し、下からの湿度よけとなじみのため、鉛板の設定、などを進めた。 保存対策としては、個々の復原保存技術ばかりでなく、作業を実施・運営して行く組織とその能力が大事である。この点も実施を試みながら観察していった。結果としては、工程を組み立てること、材料を供給すること、会計など事務処理いずれも弱体であって、保存のためにはこの方面の強化が必要であることが新たに判明した。特に考古局は約束に反して木材を供給しないままであり、復原を実施するペ-スは大幅に遅れ、このため当該年度に着手する予定であった残余の部分が事前調査で終ってしまったのは残念なことである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 渡辺 勝彦: "ネパ-ル仏教僧院イ・バハ・バヒの平面基準格子について" 日本建築学会大会学術講演梗概集. 1087-1088 (1991)
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[Publications] M.N.マナンダ-ル,渡辺 勝彦: "ネパ-ル仏教僧院イ・バハ・バヒのファサ-ドの彫像について" 日本建築学会大会学術講演梗概集. 1089-1090 (1991)
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[Publications] 戸石 久徳,渡辺 勝彦: "チャ・バヒとジャ・バハ・バヒの平面基準格子について" 日本建築学会関東支部研究報告集. 293-296 (1992)