1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02041083
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
黒木 三郎 早稲田大学, 法学部, 教授 (80063189)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SABIHAH Osma マレーシア大学, 歴史学部, 講師
SUNEE MALLIK チュラロンコン大学, 法学部, 助教授
黄 宗楽 輔仁大学, 法学部, 教授
林 秀雄 輔仁大学, 法学部, 教授
劉 隆享 北京大学分校, 経済法研究所, 副所長
陳 明侠 中国社会科学院, 法学研究所, 研究員
劉 耀〓 広東民族研究所, 所長
横山 廣子 東洋英和女学院大学, 人文学部, 助教授 (30143324)
大村 泰樹 中央学院大学, 法学部, 助教授 (60183240)
諏訪 哲郎 学習院大学, 文学部, 助教授 (00129222)
作本 直行 アジア経済研究所, 研究員
木山 英明 神奈川県立外語短期大学, 教授
西村 幸次郎 大阪大学, 法学部, 教授 (40063739)
加藤 美穂子 白鴎大学, 経営学部, 教授
大林 太良 東京女子大学, 現代文化学部, 教授 (20012263)
桜井 清彦 早稲田大学, 文学部, 教授 (60063195)
|
Keywords | 家族慣習 / 近代化政策 / 少数民族 / 複合構造 / 慣習法 / 国家法 / 多民族国家 / 国家意識 |
Research Abstract |
平成2年度においては、研究対象国5ケ国中、タイ、台湾、中国海南島の3地域で、予備実態調査を実施し、いずれの地域についても、来年度の本調査に入る前提として、少数民族の調査対象地区を特定することができた。また、研究対象国を含めたアジア諸国の家族法及び慣習法に係る文献資料を収集し、整理・分析を行うとともに、随時、識者を招いて研究会を開催した。 その結果、アジア法の基本的特質が西欧から移入された近代的制定法と伝統的慣習法の複合構造にあるという従来の認識に変化はないものの、その複合構造のあり方は当該国の法政策によって相当異なっていること、また、同一国(地域)の少数民族でも、その慣習が国家法と乖離・対立しているものもあれば、国家法とは全く独立して機能しているものもあること、などが判明した。 総じて言えば、少数民族の家族慣習については、それが前近代的な慣習であっても、国家が直接的に介入して近代化することはまれで、土地政策などの国家の経済的措置が間接的に慣習の変容をもたらしている場合が多い。例えば、中国では、一人っ子政策など厳しい人口抑制政策がとられているが、少数民族地区においては、多子出産が認められ、違法婚姻が普遍的に行われている。その一方で、タイの山地少数民族は、国有林内の焼畑農業の規制を通じて、国家の中に組み入れられ、家族慣習も変化しはじめている。 したがって、今後も、比較法的検討を続け、かかる複合構造の違いが生じた歴史的社会的経済的原因を究明する必要があると思われる。
|