Research Abstract |
緑膿菌より単離されたチトクロムPー450camのX線結晶解析の成功(T.L.Poulos et al.,J.Biol.Chem.,260巻,p16122〜p16130(1985))は,160種も単離されている他のチトクロムPー450類の機能・構造相関・構造相関の研究に画期的な,しかも重要な指針を与えた。緑膿菌のチトクロムPー450を除き,他のチトクロムPー450はミクロゾ-ム,ミトコンドリア中に存在し,現在までのところ結晶解析の報告はない。我々は肝ミクロゾ-ムのチトクロムPー450d遺伝子の酵母中での発現に成功し(T.Shimizu et al.,FEBS Lett.,207巻,p217〜p221(1986)),さらに約400種のチトクロムPー450dの変異体を調製し,単離した。この科学研費補助金(国際学術研究)の平成元年度により研究分担者であるPoulos教授から未発表のチトクロムPー450cam全原子座標(周辺の水分子も含む)とそれらの熱的揺動デ-タの供与を受け,コンピュ-タ・グラフィクス解析、変異実験,機能解析を行ない,Biochemistry,28巻,p.6848〜p.6857(1989)に論文を発表した。 平成2年度では来日したPoulos教授との討論をふまえ,distal位のGlu319の存在の意味(Biochemistry,30巻,p.1490〜p.1496(1991)),チトクロムPー450とその還元酵素との界面にあるチトクロムPー450中のリシン アルギニン残基の役割(J.Biol.Chem.,印刷中(1991)),基質受容性とアミノ酸配列との関連(Biochemistry,30巻,印刷中(1991))などを明らかにした。また,チトクロムPー450d野生種に対する界面活性剤の効果,オリゴマ-化,モノマ-化の選別,より精製しモノマ-化するカラム材料と溶離剤の選択を完了し,研究分担者の藤井教授がアメリカの学会出席の折,Poulos教授と結晶化の研究をさらに討論し(平成3年4月),平成3年度完了を目指している。
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