1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02044044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
脊山 洋右 東京大学, 医学部(医), 教授 (90010082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
EGGERTSEN Go カロリンスカ研究所, 講師
BJORKHEM Ing カロリンスカ研究所, 教授
TINT Stephen ニュージャージ医科歯科大学, 医学部, 教授
SHEFER Sarah ニュージャージ医科歯科大学, 医学部, 教授
SALEN Gerald ニュージャージ医科歯科大学, 医学部, 教授
永田 和哉 東京大学, 医学部, 助手 (60189131)
笠間 健嗣 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (80124668)
清水 孝雄 東京大学, 医学部, 教授 (80127092)
米山 恭三 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80056572)
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Keywords | 脳腱黄色腫 / CTX / 疾患モデル動物 / 帯状角膜変性症 / コレスタノ-ル / 遺伝子診断 / 胆石症 / 26位水酸化酵素 |
Research Abstract |
先天性の脂質代謝異常症である脳腱黄色腫(CTX)の病態を明らかにし、さらにこの疾患の根源的な治療法を確立することを目的として、2つの研究を進めた。(実験経過)1)アメリカのSALEN等とは疾患モデル動物の確立を目指してマウスに高コレスタノ-ル食を投与する実験を行った。これまでに肝、血清、小脳における蓄積の状況を把握し、小脳症状の発現を観察してきたが、今年度の実験においては、角膜にヒトにおける帯状角膜変性症に似た症状の発現に成功した。この病変部位にはコレスタノ-ルと共にカルシウムとリン酸が沈着していることが判明した。このことは細胞膜のコレステロ-ルがコレスタノ-ルによって置換され、その結果細胞機能が障害されることを示唆し、小脳における神経機能の障害がCTX患者では小脳症状となって現われることを裏付けている。この実験を遂行するにあたってアメリカからTINT博士を招いて共同実験を行った。2)ウエ-デンのBJOERKHEMとは遺伝子診断法の確立を目指した研究を展開た。CTX患者ではステロ-ルの代謝に関係する26位水酸化酵素の欠損が推測されているが、患者とその子供の培養線維芽細胞についてDNA分析を行った。アメリカのRUSSEL等の報告に基づいて、プロ-ブを合成し、サザンブロット法によりDNAの変異の有無を検出しようというものである。この目的を遂行するために、スエ-デンからはGOESTA博士を招き、我が国からは永田和哉、金慶淑の両氏を派遣して共同実験を実施した。(今後の研究の展望)1)マウスに高コレスタノ-ル食を投与したところ、胆嚢粘膜の炎症と血管拡張を伴った胆石の形成に成功しており、CTXの家系で胆石症と肝胆道系の腫瘍が多発していることのモデルとして病態解明が待たれる。2)遺伝子の解析により診断ができる段階は近い。
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[Publications] Kim,K.-S.: "Gallstone Formation in cholestanol-fed mice." J.Lipid Research. (1992)
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[Publications] Kim,K.-S.: "Effects of cholestanl feeding on corneal dystrophy in mice." Biochim.Biophys.Acta. 1085. 343-349 (1991)
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[Publications] Byun,D.-S.: "Effect of cholestanol feeding on sterol concentrations in the serum,liver and cerebellum of mice." J.Biochem.103. 375-379 (1989)
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[Publications] 米本 恭三: "脳腱黄金腫" BIO medica. 91-94 (1986)
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[Publications] 笠間 健嗣: "Cerebrotendinous Xanthomatosis" 臨床医. 11. 1469-1471 (1985)
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[Publications] 別府 倫兄: "Gc/Msの医学応用ーCerebrotendinous Xanthomatosis症の血液生化学的診断" 病態生理. 1. 410-417 (1982)