1990 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギ-重イオン核反応による超高密度物質の研究
Project/Area Number |
02044066
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹羽 公雄 名古屋大学, 理学部, 助教授 (60113445)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DAVIS D.H. ロンドン大学, 理学部, 教授
NATALI S. バリ大学, 理学部, 教授
RAMELLO L. トリノ大学, 理学部, 助教授
BARONI G. ローマ大学, 理学部, 教授
ROMANO G. ヨーロッパ原子核研究機構, 教授
丹生 潔 名古屋大学, 名誉教授 (50013363)
児玉 康一 愛知教育大学, 助手 (70211901)
中村 光廣 名古屋大学, 理学部, 助手 (90183889)
星野 香 名古屋大学, 理学部, 助手 (70022738)
|
Keywords | クォ-ク・グル-オン・プラズマ / チャ-ム粒子 / 原子核乾板 / 複合実験装置 / 重イオン核反応 |
Research Abstract |
本研究では、200A・GeVに加速した硫黄原子核の中心衝突におけるチャ-ム粒子生成の状況を調べ、超高エネルギ-密度物質の研究を行う。数百μmで崩壊するチャ-ム粒子を、400以上の荷電2次粒子の発生する硫黄原子核中心衝突中で捉えるために、エマルションテ-プ(ET)2層を使い、標的箔とETの間の空間でチャ-ム粒子崩壊点を再構成するという独自の手法を開発し用いる。 本年度は、中心衝突をETに蓄積する照射実験とカウンタ-系のデ-タ処理、更に今後本格的な解析をどの様に進めるかを決定するためのETの予備的な解析を行った。 照射実験はCERN SPS加速器を使って8月に行い、銀と鉛標的それぞれ2セットのETを照射し、現地で現像を行った。その後のデ-タ処理で、中心衝突を選別するカウンタ-の動作不良(ET用フラッシュチュ-ブの電源からのノイズ混入による誤動作)のため鉛標的の1セットが解析に使えない事が判明した。結局、銀と鉛標的それぞれ10^4の中心衝突(全反応の約10%)を蓄積できた。硫黄ビ-ム入射位置測定用PSDの予測精度は、ETの解析には十分であったが、標的核の破片がPSDに入射したため期待より悪かった。 予備解析で、1)ET間距離が設計値の3mmより短く0.6mm程度しかない事が判明したが、0.1μm精度の測定ステ-ジを使えばET間の距離が短くても、十分なインパクトパラメ-タ(IP)の分解能を得る事ができる。2)低運動量の飛跡はET間でそもそもつながらず、大きなIPを持つ様に見えてしまう飛跡は無い。という事が判ってきた。現在はこれらを再確認する作業を行っている。 今後は、この結果をまとめ次第、本実験技術に関する論文をNIMに投稿し、本格的な解析に進む予定である。
|