1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02044093
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲葉 章 大阪大学, 理学部, 講師 (30135652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KLEIN M.L. ペンシルバニア大学, 化学科, 教授
O'SHEA S.F. レスブリッジ大学, 化学科, 教授
THOMAS R.K. オックスフォード大学, 物理化学研究所, 講師
千原 秀昭 大阪大学, 名誉教授 (50028073)
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Keywords | 単分子吸着膜 / 熱容量測定 / 2次元格子振動 / 中性子実験 / 2次元相転移 / トンネル回転運動 / 双極子配向の整列 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は,興味ある単分子吸着膜系をいくつか選び,これについて熱力学的側面と構造的側面とから実験的研究を行い,これに最近進展の著しい分子動力学計算による理論的裏付けを得ることによって,吸着膜内で作用する分子間力や分子運動,あるいは様々な相転移の詳細を明らかにすることである。本年度に対象とした系と,得られた成果の概要を以下に記す。 1.クリプトン単分子膜…熱容量測定によって相図の決定を行い,2次元の格子振動について整合相における特異な挙動を見いだした。 2.フッ化メチル単分子膜…中性子回析実験によって構造の決定を行い,熱容量測定によって熱的挙動を調べた。その結果,2次元固相に相転移を見いだし,そのメカニズムを明らかにした。また,分子のトンネル回転運動と格子振動の特異性についても知見を得た。格子振動については,来年度に中性子散乱の実験を行う予定でいる。 3.一酸化二窒素単分子膜…一酸化炭素単分子膜でみられた双極子配向の整列化がこの系でも見られるかどうかを熱容量測定によって調べた。結果は否定的であったが、この事実は今後の理論的な研究の対象となる興味深いものである。 4.塩化メチル単分子膜…熱容量測定によって相図の決定を行い,2次元固体に密度の異なる2種類の相が存在すること,中性子やX線の回折実験では検出できない相転移があること,2次元液体にも熱異帯があることなどの知見を得た。この系については,来年度以降も中性子散乱の実験を行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] A.Inaba: "Rotational States of NH_4^+ in KBr Crystal. A Complementary Study by Neutron Scattering and Calorimetric Measurements" J.Phys.Soc.Jpn.59. 522-531 (1990)
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[Publications] T.Shirakami: "Vibrational States and Phase Diagram of the Submonolayer Krypton Adsorbed on Graphite by the Low Temperature Heat Capacity" Thermochimica Acta. 163. 233-240 (1990)
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[Publications] A.Inaba: "The Structure and Heat Capacity of Fluoromethane Monolayers Adsorbed on Graphite" Mol.Phys.71. 109-120 (1991)
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[Publications] A.Inaba: "Calorimetric Studies of Phase Transitions in Submonolayer Physisorbed Phases" Surface Sci.242. 202-205 (1991)
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[Publications] A.Inaba: "Phase Transitions in CH_3Cl Monolayers Physically Adsorbed on the Surface of Graphite" J.Phys.Soc.Jpn.60. 7-21 (1991)
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[Publications] A.Inaba: "Heat Capacities of Physisorbed Films on Solids. I.Nitrogen and Carbon Monoxide on Graphite" J.Chem.Thermodynamics. (1991)