1990 Fiscal Year Annual Research Report
HLAおよびT細胞レセプタ-遺伝子によるヒト免疫応答の遺伝子支配に関する研究
Project/Area Number |
02044115
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹月 健彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50014121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 彰方 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (60161551)
西村 泰治 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (10156119)
MAK TakW オンタリオ癌研究所(カナダ国), 教授
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Keywords | 免疫遺伝 / HLA / T細胞レセプタ- / 抗原 / T細胞レパトア / 抗原提示 / DNAタイピング / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
ヒト主要組織適合抗原(HLA)、T細胞レセプタ-(TCR)および抗原の相互作用による、ヒトの免疫応答の調節機構を解析することを目的として研究を遂行した。まず、近年急速に解明されたHLAクラスII対立遺伝子の塩基配列をもとにして、各対立遺伝子に特異的な塩基配列に対応する合成オリゴヌクレオチドプロ-ブを作成し、これとPCR法により増幅したHLA遺伝子との結合の有無を解析することにより、対立遺伝子を同定する方法を確立した。この方法を用いてインスリン依存型糖尿病とDQA1*0301、慢性関節リウマチとDRB1*0405、溶連菌抗原に対する低応答性とDQA1*0102ーDQB1*0602あるいはDQA1*0103ーDQB1*0601、B型肝炎ウィルスS(HBs)抗原に対する低応答性とDQA1*0301ーDQB1*0401との相関を明らかにした。さらに健康人より、溶連菌、PPD、HBs、あるいはスギ花粉の各抗原に特異的で、HLAーDR、 DQあるいはDP抗原に拘束されたCD4^+T細胞を数多く樹立し、 DQw6 分子と溶連菌抗原を認識するヒトT細胞は、 TCRVβ5.3を使用する頻度が、非常に高いことが明らかとなった。さらにDR4分子と溶連菌抗原を認識するCD4^+T細胞に発現されたTCRに対する単クロ-ン抗体で、既存のTCRVαあるいはVβとは異なる特異性を認識する抗体を作製した。また、ヒトTCRVαおよびVβファミリ-をコ-ドするDNAをPCR法により特異的に増幅するためのプライマ-を合成した。これを用いてヒトT細胞より抽出したmRNAよりcDNAを作製し、PCR法によりTCRVαあるいはVβファミリ-を同定する方法を確立した。平成3年11月に開催される第11回国際主要組識適合性ワ-クショップを組識し、HLAクラスII対立遺伝子を上記の方法でDNAレベルで同定するプロジェクトを主催している。さらに、各種の自己免疫疾患患者のHLAおよびTCR遺伝子の多型をDNAレベルで解析するプロジェクトも組織しており、現在国際協力による研究が進行中である。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] Nishimura,Y.: "Expression of human maJor histocompatility complex,HLAーDQw6 genes alters the immuneresponse in C57BL/6 mice." Journal of Immunology. 145. 353-360 (1990)
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[Publications] Sasazuki,T.: "HLA linked immune suppression genes." Japanese Journal of Human Genetics. 35. 1-13 (1990)
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[Publications] Ottenhoff,T.H.M.: "HLAーDQ molecules and the control of Mycobacterium Leprae specific T cell nonresponsiveness in lepromatous leprosy patients." European Journal of Immunology. 20. 2347-2350 (1990)
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[Publications] Kamikawaji,N.: "HLAーDQ restricted CD4^+ T cells specific to streptococcal antigen exist in low responders but not in high responders." Journal of Immunology.
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[Publications] 西村 泰治: "HLAーDQ トランスジェニックマウス" 医学のあゆみ. 154. 482 (1990)
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[Publications] 西村 泰治: "免疫応答および疾患感受性を支配する遺伝要因" 日本体質学会雑誌. 54. 45-47 (1990)
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[Publications] 木村 彰方: "HLA領域遺伝子群" 肺と心. 37. 277-283 (1990)
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[Publications] 木村 彰方: "HLAクラス遺伝子群" 蛋白質・核酸・酵素. 35. 3091-3103 (1990)
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[Publications] 木村 彰方: "MHC抗原の細胞分布" 日本臨床. 48. 551-553 (1990)
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[Publications] 木村 彰方: "MHC遺伝子の配置" 日本臨床. 48. 554-556 (1990)
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[Publications] 稲光 毅: "MHCとself peptideー免疫応答における self peptideの役割" 実験医学. 8. 77-80 (1990)
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[Publications] 吉住 秀之: "HLAと免疫抑制遺伝子" 日本臨床. 607. 568-573 (1990)
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[Publications] 稲光 毅: "トランスジェニックマウスに発現されたHLAーDQ分子の免疫学的機能に関する研究" 福岡医学雑誌. 82. 59-70 (1991)
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[Publications] 川原田 富朗: "HLAーDQw6遺伝子のマウス・コラ-ゲン誘導性関節炎に対する抑制効果" 福岡医学雑誌. 82. 71-85 (1991)
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[Publications] 西村 泰治: "中外医学社" Annual Review 免疫 1991 MHCトランスジェニックマウス. 10 (1991)
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[Publications] 西村 泰治: "東京化学同人 東京" トランスジェニックマウスを用いたMHCの解析「生化学実験講座」第12巻分子免疫学. (1991)