1990 Fiscal Year Annual Research Report
表皮基底膜部に病変を生ずる水疱性疾患・診断のための基礎的研究
Project/Area Number |
02044130
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西川 武二 慶應義塾大学, 医学部・皮膚科, 教授 (50051579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天谷 雅行 国立癌研究所, 皮膚科(米国)・リサーチ, フェロー (90212563)
STANLEY John 国立癌研究所, 皮膚科(米国), 上級研究員
EADY Robin A ロンドン大学, 国立皮膚病研究所・細胞病理部(英国), 主任教授
清水 宏 慶應義塾大学, 医学部・皮膚科, 助手 (00146672)
橋本 隆 慶應義塾大学医学部, 皮膚科, 講師 (20129597)
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Research Abstract |
本年度の研究は二方向に絞られた。一つは超低温固定による微細構造の観察ならびに表皮基底膜部に病変を生ずる皮膚疾患への免疫電顕法の導入である。清水はこの方法をロンドン大学国立皮膚病研究所で確立したが、当教室においても本法を行うに必要な実験機器を購入、使用可能とした。また、英国においてのみ入手可能な単クロ-ン抗体を我国症例で応用する準備を完了した。研究成果としては様式 に示すごとく,当科で確立した抗表皮基底膜部単クロ-ン抗体(5E)の基底膜部での局在を明らかにした他、各自が国際レベルの専門雑誌へ成果を発表した。他の方向は、自己免疫性水疱症である、天疱瘡他の疾患群への免疫ブロット法による診断法の確立である。類天疱瘡では抗原物質が230kDならびに170kDに二大別されることを本邦の多数例の検索で明らかにした。更に米国NIHの集積血清、英国皮膚病研究所集積血清との比較研究を3年度に行う予定である。 さらに、他の表皮抗基底膜自己抗体を有する水疱性疾患として線状IgA皮膚症、瘢痕性類天疱瘡、妊娠性疱疹、後天性表皮水疱症等が知られている。そこで、これらの自己抗体の抗原物質を免疫ブロット法を用いて検討し、若干の興味ある知見を得た。これらの症例は本邦では極めて稀であり、症例の多い米国、英国より血清を収集し得たのでさらにこの研究を発展させる予定である。また、培養表皮細胞を放射性同位元素でラベルして免疫沈降法も施行した。今後、この結果と免疫ブロット法の結果を比較検討することは重要と思われる。
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[Publications] 清水 宏: "皮膚免疫電顕の応用と展望" 皮膚病診療. 12. 1079-1086 (1990)
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[Publications] 清水 宏: "皮膚免疫電顕の基礎と臨床ーペルオキシダ-ゼ法から金コロイド法へ" 臨床皮膚科. 44. 1041-1051 (1990)
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[Publications] 杉 俊之 橋本 隆: "類天疱瘡ーヒト抗表皮基底膜部単クロ-ン抗体による解析" 臨床皮膚科. 44. 499-503 (1990)
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[Publications] 橋本 隆: "水疱性疾患の新しい知見について:免疫ブロット法による天疱瘡抗原の解析とその臨床的応用" 皮膚科の臨床. 32. 783-789 (1990)
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[Publications] Shimizu H,.McDonald J N,Gunner D B,Black M M,Bhogal B,Leigh I M,Whitehead P C,Eady R A J.: "Epidermolysis bulosa acquisiten and Cーterminal of type VII collagen have common immunoーlocalization on anchoring fibrils and lamina densa of basement membrane." British Joural of Dermatology. 122. 577-585 (1990)
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[Publications] Tanaka T,Korman N J,Shimizu H,Eady R A J,KlausーKovtun V,Cehrs K,Stanley J R.: "Production of rabbit antibodies against carboxyーterminal epitopes encoded by bullous pemphigid cDNA." Journal of Investigative Dermatology. 94. 617-623 (1990)
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[Publications] Amagai M,Hashimoto T,Tajima S,Inokuchi Y,Shimizu N,Satio M,Miki K,Nishikawa T.: "Partial cDNA cloning of the 230ーkD mouse bullous pemphigoid sntigen by use of a human monoclonal antiーbasement membrane antibody." Journal of Investigative Dermatology. 95. 252-259 (1990)
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[Publications] Shimizu H,Hashimoto T,Nishikawa t,Eady R A J.: "Human monoclonal antiーbasement membrane zone antibodies derived from virally transformed lymphocytes of a pstient with bullous pemphigoid recognize epitopes associated with hemidesmosomes." British Journal of Dermatology.