1994 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞におけるIP_3受容体の分子機構と情報伝達発生.文化におけるその役割
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02101001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
御子柴 克彦 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30051840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣澤 一茂 医科学研究所, 教授 (30009980)
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Keywords | カルシウムシグナリング / イノシトール3リン酸 / イノシトール3リン酸レセブター / カルシュウムチャネル / 小胞体 / 海馬錐体細胞 / アルツハイマー病 / 小脳プルキンエ細胞 |
Research Abstract |
イノシトール1、4、5三リン酸(IP3)受容体(IP_3R)は、IP_3/Ca^<2+>細胞内情報伝達系において、IP_3の結合により細胞内カルシウム貯蔵部位である小胞体からカルシウムを細胞質中に放出するチャネルとして機能する。哺乳類のIP_3受容体には、中枢神経系、特に小脳プルキンエ細胞に豊富に発現するIP_3受容体タイプ1(IP_3RI)の他に、さらにニつの異なる遺伝子によってコードされたIP_3受容体タイプ2(IP_3R2)とIP_3受容体タイプ3(IP_3R3)が存在することが、遺伝子クローニングにより明らかにされている。IP_3受容体にこのような複数のタイプが存在することは、IP_3/Ca^<2+>細胞内情報伝達系に多様性を与えるものとして興味がもたれる。今回我々は、各タイプの遺伝子発現の細胞・組織特異性について研究した。 In situハイブリダイゼーション法による解析からIP_3R2び3R2mRNAは、顎下腹の小葉内導管、腎尿細管、精巣上体導管等に特微的に局在した。また、IP_3R3mRNAは、小腸、脾臓、胃等で発現が見られた。今回の研究から、IP_3Rの各夕イプの遺伝子がマウス各組識においてタイプ特異的なパターンで発現することが明らかとなった。 次にタイプIIP_3Rは、脳に多く発現しているので、我々はAlzheimer型痴呆における海馬錐体細胞のIP_3Rの発現について検討した。Aizheimer型痴呆は主として海馬CAI領域の錐体細胞が障害され、脱落することが病理学的特徴の一つである。Aizheimer型痴呆の7剖検例(70〜89才)及び対照として中枢神経系に異常のない剖検例10例(40〜68才)を用いた。これら脳の海馬の未固定凍結切片を作製した。免疫組織学的解析には、一次抗体として抗P400/IP_3R monoclonal抗体を用い、ABC法により検索した。対照脳の海馬錐体細胞は抗P400/IP_3R抗体によって染色された。特にCAI領域では、CA2CA3、CA4、のそれよりも強く染色された。Alzheimer型痴呆における病理組織像は、主として海馬CAI領域の錐体細胞の脱落とgliosis及び神経原線維変化の形成であった。IP_3Rの発現に関しては、対照例と異なりCA1領域の錐体細胞では極めて強く、CA2、CA3、CA4領域の錐体細胞もその発現は対照例に比して弱かった。
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[Publications] Wojcikiewicz,R.,Furuichi,T.,Nakade,S.,Mikoshiba,K.&Nahorski,S.: "Muscarinic receptor activation down-regulates the type I inositol 1,8,5,-trisphosphate receptor by accelerating its degration." J.Biol.Chem.269. 7963-7969 (1994)
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[Publications] Yamamoto-Hino,M.,Sugiyama,T.,Hikichi,K.,Matteri,G.M.,Hasegawa,K.,Sekine,S.,Sakurada,K.,Miyawaki,A.,Furuichi,T.,Hasegawa,M.&Mikoshiba,K.: "Cloning and characterization of human type 2 and type 3 inositol 1,8,5,-trisphosphate receptors." Receptors and Channels.2. 9-22 (1994)
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[Publications] Nakade,S.,Rhee,S.K.,Hamanaka,H.&Mikoshiba,K.: "Cyclic AMP-dependent phosphlylation of an immunoaffinity purified type I homotetrameric inositol 1,8,5,-trisphosphate receptor increases Ca^<2+> flux in reconstituted lipid vesicles." J.Biol.Chem.296. 6735-6742 (1994)
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[Publications] Furuichi,T.,Furutama,D.,Hakamata,Y.,Nakai,J.,Takeshima,H.,&Mikoshiba,K.: "Multiple types of ryanodine receptor/Ca^<2+> release channels are differentially expressed in rabbit brain." J.Neurosci.14. 4794-4805 (1994)
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[Publications] MIchikawa,T.,Hamanaka,H.,Otsu,H.,Yamamoto,A.,Miyawaki,A.,Furuichi,T.,Tashiro,Y.,& Mikoshiba,K.: "Transmembrane topology and site of N-Giycosylation of inositol 1,8,5,-trisphosphate receptor." J.Biol.Chem.269. 9184-9189 (1994)
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[Publications] Fukuda,M.,Aruga,J.,Niinobe,M.,Aimoto,S,and Mikoshiba,K.: "Inositol-1,3,8,5-tetrakisphosphate binding to C2B domain of IP8Bp/synaptotagmin II." J.Biol.Chem.269. 29206-29211 (1994)