1990 Fiscal Year Annual Research Report
脳軟膜転移癌の微小循環学的解析とそれに基づく薬剤到達亢進システムの研究
Project/Area Number |
02152014
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 磨郎 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (90006081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹田 滋 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (90207259)
斎藤 祥子 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (00125551)
堀 勝義 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助教授 (00143032)
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Keywords | 脳軟膜転移癌 / 髄膜白血病 / アンギオテンシンII / 腫瘍血流 / 昇圧癌化学療法 / 腫瘍血管 |
Research Abstract |
中枢神経系(CNS)とくに髄膜への白血病浸潤巣に対する化学療法においては,その効果が期待し難いといわれている。その理由を薬剤到達の側面から解析し,そして腫瘍血流増加による薬剤到達亢進によっての化学療法効果増強について検討した。ラットDBLAー6白血病細胞を脳内移植し5日後の増殖巣を,中枢神経系(CNS)白血病のモデルとし,(1)血管機能を解析し,(2)Daunomycin(DM)4mg/kgによる昇圧癌化学療法を行なった。結果:(1)進展期増殖巣には腫瘍血管がかなりに形成され,その部分の脳血関門の機能は欠如していた。(2)DM単独投与群:硬膜での増殖巣は無処置群に比し有意に減少したが(p<0.01),クモ膜下腔および脳実質等では有意の差はなかった。昇圧癌化学療法群:腫瘍血流増加を目的したangiotensin II昇圧(平均動脈血圧150mmHg)下での化学療法群の治療効果は著明であり,頭蓋内の増殖巣は完全に消失し,白血病細胞は認められなかった(n=8,P<0.01)。CNS以外の臓器における化学療法効果:無処置群では肝,脾,肺等に白血病細胞の浸潤が認められたが,単独群と昇圧群ではまったく消失した。これら病理組織学的効果の検討とともに延命効果を検索したところ,無治療対照群の50%生存率は12日(n=7)であり,DM単独群では19日(n=8)であった。また,そのうち1頭は治癒した。昇圧化学療法群は18〜24日に3頭が死亡したものの,9頭中6頭が完全に治癒し,明らかに生存日数の延長を見た。 CNS白血病の進展期では脳血関門は部分的になく,昇圧癌化学療法により,浸潤巣に制癌剤を充分到達せしめ得た結果,治療効果の著しい増強を認めた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 張 秋航: "進展期の中枢神経系白血病に対する昇圧化学療法の実験的検討" 抗酸菌病研究所雑誌. 42巻3,4号.
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[Publications] 鈴木 磨郎: "アンギオテンシンII昇圧によるダウノルビシンの腫瘍組織内濃度亢進:生体観察下での連続的解析" 抗酸菌病研究所雑誌. 42巻3,4号.
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[Publications] 鈴木 磨郎: "アンギオテンシンII昇圧による癌微小増殖巣における血流の増加" 抗酸菌病研究所雑誌. 42巻3,4号.
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[Publications] 鈴木 磨郎: "腫瘍血管の特性ーDrug delivery system開発の基礎として" Biotherapy. 4(11). 1701-1707 (1990)
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[Publications] 鈴木 磨郎: "腫瘍の微小循環と血管内皮細胞ー転移巣と関連して" 病理と臨床. 9(1). 47-49 (1991)
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[Publications] 堀 勝義: "Characterization of heterogeneous distribution of tumor blood flow in the rat" Jpn.J Cancer Res. 82. 109-117 (1991)
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[Publications] 堀 勝義: "図説臨床[癌]シリ-ズNo.31 癌の新しい局所治療" メジカルビュ-社, 191 (1990)