1990 Fiscal Year Annual Research Report
レトロウィルスで癌化した細胞におけるエピジェネティックな変化
Project/Area Number |
02152023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩本 愛吉 東京大学, 医学部(医), 講師 (10133076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 義浩 国立予防衛生研究所, 腸内ウィルス部, 厚生技官(研究員) (10202037)
吉倉 廣 東京大学, 医学部(医), 教授 (60012754)
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Keywords | ラウス肉腫ウィルス / DNAメチル化 |
Research Abstract |
ラット線維芽細胞3Ylをラウス肉腫ウィルス(RSV)でトランスホ-ムしたH21細胞からは、比較的容易にリバ-タントが分離でき,そこからまた再トランスホ-マントが分離できる。ノ-ザンブロットでRSVの転写物を調べると,リバ-タントでは全て検出レベル以下にシャットオフされている。トランスホ-マントでは,RSVで本来予測されるmRNA(38S,28S,21S)以外に18S,15Sの異常に小さいRSV由来の転写物が認められる。この異常なサイズのmRNAの起源とH21におけるRSVの転写調節機構を明らかにするためにクロ-ン化したプロウィルスを調べたところ,H21には1本の完全なゲノムと欠損型のゲノムが存在し、異常なサイズのmRNAは欠損型に由来する。即ち、調べた限りのH21の亜株では,染色体上の別の場所に存在する2つのRSV分子の転写のON,OFFが同期している。欠損型ウィルスは,src遺伝子の極く一部のみを持つだけなので細胞のトランスホ-メ-ションは完全型のプロウィルスからのsrc遺伝子発現による。クロ-ン化した種々の断片を用いてトランスホ-マント,リバ-タントのDNAのメチル化をサザンブロットで比較したところ,プロウィルスより上流の細胞のDNAや,pol,env,srcといったウィルス中央部ではほとんど差が認められないが5'及び3'LTR周辺のメチル化の程度がリバ-タントで高い。MspIで切断し,LTRをプロ-ブとして用いたサザンブロットで,約1.2kbのバンドがリバ-タントに特異的であったが、これは完全型プロウィルスの5'LTRU5内部のMspI切断部位のメチル化によることが分った。一方、RSVプロウィルスを約10コピ-持つXC細胞からも、形態的に異なる細胞が分離でき、それらの間でRSVの転写量が異なる。この場合も、転写量の多い株で,LTRのメチル化が低くなっていた。
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[Publications] Kawabata,M.et al.: "Clonal variation of adenylyl cyclase activity in a rat tumor cell line caused by change in G proteinーcatalytic unit interaction." J.Cell.Physiol.144. 448-456 (1990)
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[Publications] Yoshikawa,H.et al.: "Amplification and typing of multiple cervical cancerーassociated human papillomavirus DNAs using a single pair of primers." Int.J.Cancer. 45. 990-992 (1990)
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[Publications] Takuwa,N.: "Role of Ca^<2+> influx in bombesinーinduced mitogenesis in Swiss 3T3 fibroblasts." J.Biol.Chem.266. 1403-1409 (1991)
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[Publications] Yoshikawa,H.et al.: "Detection and typing of multiple genital human papillomaviruses by DNA amplification with consensus primers." Jpn.J.Cancer Res.(1991)
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[Publications] Horio,K.: "Epigenetic control of tumor cell morphology" Jpn.J.Cancer Res.(1991)