1990 Fiscal Year Annual Research Report
SCIDマウスを利用したATL細胞のin vivo増殖モデルの作製
Project/Area Number |
02152048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内山 卓 京都大学, 医学部, 助手 (80151900)
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Keywords | ATL / SCIDマウス / HTLVーI |
Research Abstract |
4例のATL患者リンパ節、3例のATL患者末梢血単核球(大部分が白血病細胞)を、計32匹のSCIDマウスに接種した。リンパ節切片接種マウスでは、凍結保存片の1例は増殖せず、2例は未だ結果が判明していないが、残り1例では、4匹のネズミ中2匹(A,B)で約3ヵ月後に腫瘤形成をみた。マウスAでは,腫瘤は患者リンパ節と区別のつかない病理組織像を示し、腎,膵,肝臓への細胞浸潤も認められた。腫瘤構成細胞の細胞表面形質解析では、CD2(+)CD3(+)HLAーDR(+)ILー2Rβ(+)のヒトT細胞が大部分で、一部CD20(+)のB細胞が混じていた。この結果から、腫瘤は、腫瘍の性格を有する主にヒトT細胞により成ると考えられたが、サザ-ン法では、Alu配列は検出されたが、明らかなモノクロ-ナル増殖を示すHTLVーIプロウィルスの組み込みを示す結果は得られなかった。ただし、PCR法では、HTLVーIは検出されている。次に、マウスBでは、外見上同様の腫瘤形成がみられ、Alu配列やヒト染色体を示す分裂細胞の検出から、ヒト由来細胞の増殖と考えられたが、組織像はB細胞腫瘍型で、表面形質や免疫組織染色結果からB細胞が主体を占めると考えられた。末梢血白血病細胞を腹腔接種したマウスでは、肝臓に軽度細胞浸潤を示す例や、腹腔内より2〜3週後にヒト細胞回収可能な例、血中可溶型ILー2受容体α鎖(Tac)の上昇をみた例もあるが、in vivo増殖モデルの作製には、リンパ節切片の腎被膜下接種の方が良いと思われた。今後、例数を増やしながら、接種材料,方法等を検討し、再現性良いモデルをつくる必要がある。
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