1990 Fiscal Year Annual Research Report
受容体チロシンキナ-ゼによる細胞増殖の制御機構: mi突然変異マウスを利用した解析
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02152052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 潤 京都大学, 医学部, 教授 (50173430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筧 善行 京都大学, 医学部, 助手 (20214273)
吉田 修 京都大学, 医学部, 教授 (70025584)
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Keywords | 癌遺伝子 / 細胞増殖 / チロシンキナ-ゼ / 突然変異マウス / 増殖因子 / シグナル伝達 / 細胞間相互作用 |
Research Abstract |
1.肥満細胞が欠損する小眼球症突然変異マウスmi/miを用いて、cーkit蛋白をレセプタ-とする増殖シグナル伝達経路の解析を行なった。その結果 (1)mi異変ではILー3を介する増殖シグナル系には異常がないために、in vitroでその骨髄からILー3存在下に培養肥満細胞が得られること。この肥満細胞は、W突然変異マウス(cーkit遺伝子の変異)由来培養肥満細胞と同様に、cーkitのリガンド(SLF)によつては増殖刺激をうけないこと、即ちmi遺伝子座産物はcーkitの下流で機能していることがあきらかとなつた。 (2)mi/miマウスはosteopetrosisも合併しており、マクロファ-ジ系に異常があるので、CSFー1レセプタ-(cーfms)を介するシグナル伝達系にもmi遺伝子座が関与している可能性を考え、以下の実験を行った。正常マウス由来及びW/Wマウス(cーkit機能不全)由来の培養肥満細胞に、cーfmsを導入したところ、ともにCSFー1により細胞増殖が誘導されるようになった。即ち培養肥満細胞には、cーfmsレセプタ-チロシンキナ-ゼの下流になる増殖シグナル伝達系が発現している。しかしmi/miマウス由来培養肥満細胞にcーfmsを導入しても、CSFー1による増殖は誘導できなかった。おそらくmi遺伝子座産物はレセプタ-型チロシンキナ-ゼcーkitだけではなくcーfmsのシグナル伝達系においてもその下流で必須の機能を果たしているのであろう。 2.SLFの機能に欠陥のあるSl/Slマウス由来の3T3線維芽細胞と培養肥満細胞との共培養系を用いて、SLFが細胞の増殖だけではなく接着及び移動にも重要な働きをしていることをin vitroで示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ru,X.ーM.: "Regulation of mast cell differentiation studied by diffusion chamber technique" Experimental Hematology. 18. 231-234 (1990)
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[Publications] Nakayama,H.: "Growth competition between W mutant and wildーtype cells in mouse aggregation chimeras" Development Growth and Differentiation. 32. 255-261 (1990)
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[Publications] Kaneko,Y.: "Adhesion of mouse mast cells to fibroblasts:adverse effect of Steel(Sl) mutation" J.Cellular Physiology.
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[Publications] Dubreuil,P.: "Function of the microphthalmia(mi) locus is required for both the cーkit(W,Steel) and cーfms signal transduction pathways" Proceedings of National Academy of Sciences USA.
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[Publications] 藤田 潤: "図説 泌尿器科学講座 第3巻 尿路性器癌学" メジカルビュ-社, (1991)
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[Publications] 北村 幸彦: "細胞分化と疾患ー阿蘇シンポジウム1988ー" 南山堂, 103 (1990)