1990 Fiscal Year Annual Research Report
^<10>Bー熱中性子捕捉反応によるがん細胞DNA障害、細胞致死作用の放射化学的研究
Project/Area Number |
02152062
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上野 陽里 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (60025541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芥田 敬三 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (70144285)
小林 慎江 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (80027408)
北岡 祥伯 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (00027426)
小野 公二 京都大学, 医学部, 講師 (90122407)
赤星 光彦 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (00027418)
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Keywords | 中性子捕捉療法 / ^<10>B熱中性子捕捉反応 / DNA / LQーモデル / RBE |
Research Abstract |
我々は熱中性子を利用して原子核反応を発生させ生物効果を研究している。これはがん中性子捕捉療法の研究の基礎をなすものである。原子核反応の生物作用ではその反応の結果生じる粒子のエネルギ-がきわめて微小な部分にあたえられるため、エネルギ-吸収の研究には放射化学的研究が必要である。今回はDNAレベルでの吸収線量の推定に力点をおいて分析した。RBE値を求めるためのパラメ-タとしてはLーQモデル法によって実験デ-タから計算した平均不活性化線量を使用した。 ^<10>B化合物は ^<10>Bーdextranである。この化合物は細胞内には入らず、そのため ^<10>B原子は細胞核からほぼ一定の距離にある。RBE値の基準放射線は原子炉線束とほぼ同じ線量率の ^<60>Coーγ線である。現在までに分析できたところでは、熱中性子のRBE値は1.94、 ^<10>B(n,α)^7Li核反応のRBE値は ^<10>Bの濃度(12.5μg/mlから50.0μg/mlまで)に関係なく5.64±0.26であった。 ^<10>B(n,α)^7Li核反応のRBE値が予想以上に大きかったが、これはさらに実験を繰り返す必要がある。今後の治療にあたって注意しなければならない点である。原子炉線束のRBE値は以前からの測定値と同じく、ほぼ1.0〜1.5であった。原子炉線束のRBE値が比較的安定していることは、中性子捕捉療法にKURを使用する場合に有利な点である。本研究の成果は中性子捕捉療法の発展の寄与することが期待される。
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[Publications] 古林 徹: "硼素熱中性子捕捉療法における吸収線量評価よりみた治療照射条件" 放射線生物研究. 25. 53-64 (1990)
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[Publications] T.Kobayashi: "Biomedical irradiation for boron neutron capture therapy at the Kyoto university reactor" Neutron beam design,development,and performance for neutron capture therapy. 321-339 (1990)
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[Publications] M.Akaboshi: "Study on the uptake and distribution of ^<195m>Ptーcisーdiamminecholoro platinum in various tissues of mice" Annu.Rep.Res.Reactor Inst.Kyoto Univ.23. 64-69 (1990)
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[Publications] Y.Ujeno: "Mathematical analysis of the HeLa S3 cells following neutron capture radiation:Calculation of RBE by a linearーquadratic model" Annu.Rep.Res.Reactor Inst.Kyoto Univ.23. 91-96 (1990)