1990 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復能力と毛細血管拡張性運動失調症(AT)形質発現の解析
Project/Area Number |
02152088
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小松 賢志 長崎大学, 医学部, 助教授 (80124577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 靖司 長崎大学, 医学部, 助手 (00195744)
奥村 寛 長崎大学, 医学部, 教授 (00073130)
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Keywords | 毛細血管拡張性運動失調症 / 11番染色体 / 染色体移入 / DNA修復 / 放射線抵抗性DNA合成 |
Research Abstract |
高発癌性遺伝病の毛細血管拡張性運動失調症の患者由来の細胞に微小核融合法を用いて正常ヒト染色体を移入した結果、11番染色体がすべてのAーTハイブリッドクロ-ンの放射線致死高感受性を正常に回復させた。AーT細胞は他にもいくつかの特有の形質がみられ、そのなかの特定の形質発現がAーT細胞の癌化に関連すると思われる。しかしながら、これらのAーT形質問相互の因果関係は明らかではない。今回11番染色体移入クロ-ンを用いて、AーT形質である放射線抵抗性DNA合成、DNA損傷からの修復能力の低下,高頻度染色体異常について検討した。放射線照射後の3HーTdR取り込みによるDNA合成速度を測定した結果、現在までに調べたクロ-ンについて,正常細胞と同様の放射線照射後のDNA合成速度の低下が認められた。このことは、AーT形質の1つである放射線抵抗性DNA合成も細胞致死における放射線高感受性も同一遺伝子の欠陥に原因することを示唆する。一方、DNA修復能力は放射線照後に0.5MNacl高張処理20分間によって発現するfastPLD回復を測定した。その結果、11番染色体移入クロ-ンの修復能力はAーT細胞より大きく、正常ヒト線維芽細胞と同程度のレベルにまで回復した。ただし、11番染色体移入クロ-ンのPLD回復を阻害した時の生存率曲線は既にAーT生存率曲線より高値であるために、fastPLD回復ではAーT放射線致死高感受性を説明できない。今後は他のタイプのDNA修復について検討する必要がある。AーT細胞の染色体異常は自然発生および放射線誘発頻度ともに高いことが知られている。11番染色体移入クロ-ンでは両染色体異常頻度ともに正常細胞のレベルにまで低下した。このことはAーTの放射線致死感受性と染色体異常の誘発が密接に関連していることを示している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Komatsu: "Restoration of radiation resistance in ataxia telangiectasia cells by the introduction of normal human chromosomell." Mutation Res.253. 59-63 (1990)
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[Publications] K.Komatsu: "Radiation dose to mouse liver cells from ingestion of tritiated food or water" Health Physics. 58. 625-629 (1990)
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[Publications] 小松 賢志: "毛細血管拡張性運動失調症の遺伝子マッピング" 医学のあゆみ. 154. 179 (1990)
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[Publications] 小松 賢志: "細胞致死・突然変異・細胞のがん化による ^3Hβ線と ^<252>Cf中性子線のRBE" 広島医学. 43. 561-563 (1990)
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[Publications] 小松 賢志: "ハイパ-サ-シアによるC3H10T1/2細胞癌化能の修飾" 日本医学放射線生物部会誌. 3. 110-113 (1990)